脇役の人物描写
当サイトでは、脇役の人物描写に焦点を当てています。
ウシジマくんのメインキャラクターの強烈な個性に、リアリティを与えているのは脇役のリアルさです。
脇役達の行動は突飛なものではなく、しっかりとしたバックボーンがあった上で、その人格に沿った行動をとっています。
だから作品に違和感を覚える事無く読み進めていけるのです。
メインキャラクターのウシジマくん達の描写
漫画のタイトルになっているウシジマくんも実に興味深いキャラクターです。
妾さんの子供でないがしろにされていたのに、見捨てられた父親の世話をする。
この辺りに彼の二面性というか、奥深さがあります。
債務者を追い込む姿は容赦ないですが、どこか彼なりの哲学があります。
救いようの無い者は、一度助けても同じことを繰り返す。
だから徹底的に追及する。
ごくまれに、救いようのある債務者がいると、どこか最後の一歩を加減して、正道に帰してやるように見える事があります。
この辺り、亡くなった母親の残したウサギを大事にしているというのが、母親の優しさを引き継いだ描写に見えます。
滑皮秀信の描写も秀逸
ウシジマくんを追い詰めていく、滑皮秀信の人物描写も優れています。
飯の食い方が汚いと言われており、中華屋でも高級ホテルのルームサービスでも、犬のようにガツガツと食べます。
アメリカの刑務所帰りは、プレートを覆い隠すようにしてガツガツ食べるのだそうです。
これは食事を盗まれたり、安心して食べられなかった為だそうです。
滑皮の家庭環境が、食事がないか奪われるか、どちらにせよ安心した食卓ではなかったことを伺わせます。
滑皮は部下に対して情があるような接し方をしています。
が、それは自分に対して絶対的な忠誠心のある駒を持つ目的のためです。
この損得だけの意識がウシジマくんとの違いです。
作品の隅々まで読んでいただきたい
漫画の表現は奥深く、間や視線にも意味があります。
特に本作品は、人物描写が非常に細かく、群衆のシーンにさえ人の息吹を感じます。
群衆が持つ、得体のしれない思いの交錯が
「ニギ ニギ」という言葉ではない声で表される事があります。
なんだかよくわからないけど、何となくわかる。
そういった読み手に委ねられた表現が随所に見受けられます。
そういう場面も隅々まで読んでいただくことで、漫画闇金ウシジマくんの新たな発見をしていただければと思います。
この漫画は、買って何度も読む価値があります。