フーゾクくん編より(5~7巻)
男は女にアピールをして、選んでもらう事で遺伝子が残せる。
女は自分と産まれた子を飢えさせない男を選ぶ。
大昔なら狩の名手やグループの権力者だ。
現代社会では仕事と収入でアピールできる男が女に選ばれるが、若い内ならルックスで女をひっかけることもできる。
このいずれのアピールも出来ないのが、女にあぶれる弱者男性だ。
キモい客は、進化心理学で説明がつく。
風俗の客がキモい理由
風俗に行くのは、現代社会で男として勝ち残れなかった者が多い。
勝ち残るとは仕事と収入で女にアピールして、自分の遺伝子を継ぐ子を産んでもらうことだ。
それが出来ない者が風俗に通うので、必然的にキモい男が多い。
一日中、風俗嬢の瑞樹を貸切、ホテルに入って子供のようにはしゃぐ雨男(あめお)
もう気持ち悪い。
彼はファッション感覚もおかしく、メッシュの迷彩ベストがアクセントになっている。
性欲だけは一人前にあるが、他は大人になれるほどは発達していない。
キモ客「瑞樹ちゃんと今日はずっとずっと一緒だねーー」
「ねーー」
と瑞樹に返されるとキモ客は
「きゅーーっ!!!」
と言って身もだえする。
ゾワゾワする気持ちの悪さ。
このあたりの感性のズレも、社会から距離を置かれる理由だ。
仕事の努力ができない無能な彼らのアピールは、すべてお手軽なものだ。
「一緒に食べようと思ってね、瑞樹ちゃんが大好きな生ドラ買ってきたんだ。」
道すがらにある店で買えるようなスイーツを手土産に持ってくる。
「お風呂入れるから、瑞樹ちゃん入ってね――♡
温泉の素 買ってきたの!
僕もあとで入ろう♡」
お風呂の用意をして、温泉の素も買ってきたのだと。
これがキモい客の女に対する努力。
一般男性が女性のために箱根のホテルを予約し、車で連れて行ったりするのに対し、キモ客は全てラブホテルの一室で済ませてしまう。
行動半径が中学生レベルなのだが、財力のアピールはどうだろうか?
風俗嬢を一日貸切で、自分専用にすると15万円かかる。
だがこのお金すら寝たきりの親の少ない貯金を食いつぶしているだけで、本人に稼ぐ力はない。
全てが努力なしで出来る、小手先のことばかり。
お金や物でアピールできないキモ客は性格の良さをアピールしようとするが、気持ちの悪いことしかできない。
雨男(あめお)というあだ名は、彼が雨の日に予約を入れるからつけられた。
雨の日は客足が遠のいて風俗嬢が稼げないから、穴埋めのために自分が雨の日に客になれば優しさをアピールできると思っている。
他にも風俗嬢にプレイを求めないという、気持ちの悪いアピールの仕方もしたりする。
だがキモ客を手玉にとって稼ぐ風俗嬢たちには、そんな浅はかな下心など手に取るようにわかる。
雨男みたいな客は風俗嬢たちの座談会で
「アホだからプレイしないコトで誠意を見せられると思って、話だけして帰るンだって!」
とバカにされている。
風俗に行って誠意を見せる?
このズレた感性が女を遠ざける。
「僕は… 他の奴らに瑞樹ちゃんを触らせたくない。」
ずんぐりむっくりの風俗客で場所はラブホテルの一室なのに、セリフだけは純愛モノの主人公のようだ。
TPOが滅茶苦茶なのは男女関係に限った事ではなく、全ての面でズレている。
だから一般社会で誰にも相手にされず、底辺界にしか居場所がない。
関連:底辺の性欲が強い理由
キモ客の純愛に対して、現実の世界に生きる風俗嬢の瑞樹は冷静な目で
(コイツ…… ”欲”が出てきた。 そろそろパンクする。切り時だな……)
瑞樹は
『エースの雨男がパンク。ヤバイ感じなのでNG客にしてください。』
と、店長にメールして二度と会わないようにした。
悲しいかな、キモ客はここでも女に選ばれないで終わる。
中年のキモ客
どういう生き方をしたのか、おじさんの背中は汚い。
風俗嬢のモコはおじさんの背中を見ながら
(やっぱキモいものはキモイ!! 背中の何あれ? カビ?)
背中に無駄な毛が生えた上に、シミより生々しいカビのようなものまで生えている。
歳をとると人間の体は、様々な変異を起こす。
例えばおじいさんの耳毛が長いのは、老化で体の情報伝達機能がエラーを起こしているから、必要以上に伸び続ける。
これをキモいと思う女の感覚は正常で、老化した男とつがいになってもメリットがないので、嫌悪して遠ざけるメカニズムだ。
だから中年のキモ客はお金を払って風俗に通うのだが、若い頃のような衝動的な欲求は衰えているのになぜ通うのか?
彼らに同年代の女房が居たとしても、年齢的に妊娠は難しい。
だが、男は本能で性機能が無くなる前に種付けをしたいという思いがあり、執着に近いネチッこさで女を求める。
キモい理由は他にもある。
中年になると他人との共感性が衰えて、他人の気持ちに鈍感になる。
だから、他人を意識した清潔感が考えられず、やること全てに嫌悪感を持たれる。
(ひーーっ!! 汚ったねーシャツ!!)
風俗嬢のモコに渡されたうがい薬をガラガラして・・・
ベッ とモコの足元に吐き出す。
それがモコの足にかかるのだが、こういう振る舞いが嫌がられるという感性はとうに消えうせている。
それに、他人に説教できるほどの努力をしてきていないのに、説教は大好きだ。
おじさんは汚い服を着ながら
「客は 50分1万8千円、つー高い金払って来てンの忘れんなよ!」
底辺が説教をするのが好きなのは、立場が一気に上になれるからだ。
少しでも正当性を主張できそうな要素があれば、それを大上段で振り下ろす。
普通の人なら指摘したら心が狭いと感じる事でも、底辺は上からの気分を味わいたいのですぐに説教をする。
だが底辺からの説教など、他人には響かない。
(キモッ!! 1万8千円くらいでウゼェーンだよ。)
キモいというのは、女から男へ投げかける最上級の拒否の言葉だ。
頭の先から足の先まで、そして内面の全てを否定するのがキモいという事だ。
キモいをもっと理解する
人間性をもっと深く掘り下げると風俗のキモ客だけでなく、身の回りの異性の考えが読み取れるようになります。
男性と女性では全く別のルートで現代まで進化をしたため、互いに理解できない事が多々あります。
周囲の人の事を一段高いところから、俯瞰(ふかん)で眺める事で異性の考えが理解できるようになります。