普通の女子大生が風俗に堕ちる理由

若い女
真鍋昌平著「闇金ウシジマくん6巻」小学館

フーゾクくん編(5~7巻)より

 

若い女は自分が悪意の的にされる事など、想像がつかない。

自己主張をしないで場の空気を読もうとする女は、恰好の獲物だ。

 

若い女は騙されやすく、その一回で地下の住人になることもある。

誰にも迷惑をかけずに生きていても、若い女に干渉してくる男は多い。

普通の女子大生が風俗に堕ちる理由

モコ上京して、賃貸に一人暮らしをしている。

Fラン大に通う女子大生らしい、ワンルームマンションとアパートの中間くらいの家だ。

安っぽいミニテーブルとソファーで、食事から勉強まで全て行う。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん6巻」小学館

 

姿見と化粧台は部屋の割に頑張っていて、東京デビューに胸を膨らませていた事がうかがえる。

床にはたこ足配線と地べたに直置きのプリンター、カーペットとは呼べない薄い布。

 

安物の家財を詰め込んで、精一杯の一人暮らしをしている。

だが東京の良い面だけに憧れて上京した娘に、負の面は想像できなかった。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん6巻」小学館

 

ふわふわした東京暮らしの中で、美顔器や毛皮のコートを買わされて借金を抱えてしまう。

悪徳商法に使われやすい”イルカの絵”も飾ってある。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん6巻」小学館

 

この絵の売り方は特殊だ。

商売っ気を隠した販売員が若者の多い街で声をかけ、巧みな話術で仲良くなる。

 

世間知らずな娘は、これが東京の友達の作り方なのかと勘違いする。

無論、東京だって日本なのだから、見ず知らずの人に話しかけて友達を作る文化はない。

 

販売員は友達感を出して、断りにくい空気を作ってから大量に刷った絵(というかポスター)を数十万円で売りつける。関連:ホストクラブの客

被害者は家具など身近なものの値段の高い・安いはわかるが、それ以上になると思考を停止してしまう。

 

安物の家財道具に似合わない、高額な商品が部屋に転がっている。

世間知らずなお上りさんは、悪徳商法のカモになる。

Fランク大学はまき餌のように、全国からフワフワした若者を東京に呼び寄せる。

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だがFランク大学も美顔器同様に、高額な料金に見合う価値の提供はしていない。

そういった東京の悪意に囲まれても、モコは受け身の性格で受け入れてしまう。

遠慮がちで親に対しても申し訳なくて、ローンの相談ができず借金をする。

 

しかも消費者金融と闇金の違いもわからず、闇金から借りてしまう。

 

Fランク大学⇒悪徳商法⇒闇金融

 

ときたら、風俗で働く以外に選択肢はなかった。

 

若い娘を呼びよせて落とし込む東京のシステムに、モコは順応して堕ちていった。

東京に来れば誰もが一人前に育つわけではない。

可愛いコに旅をさせた結果、一生の方向性をゆがめられる。

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フーゾクでも順応する

フーゾク仲間がカラオケボックスで座談会をしていて、場に居ないNo.1(売上)の瑞樹の悪口を言っている。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん5巻」小学館

 

「あーゆーブサイクが上になるとマジ落ちる。」

 

モコは悪口には参加せず、聴講生のように背を伸ばして座っているだけだ。

杏奈

 

「私知ってるよ。何で瑞樹がNo.1になれるか。」

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん5巻」小学館

 

瑞樹の悪口を言っていた二人のフーゾク嬢の目の色が変わる。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん5巻」小学館

 

(2人ともすげー反応してるし…… 風俗嬢は金の匂いに敏感なのね……)

 

モコはここでも自分の我は出さないで、他人の顔色を伺って地雷を踏まないようにしていた。

臆病ゆえに、このような行動をする。

人の顔色を伺う癖

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん6巻」小学館

フーゾクの先輩、瑞樹と杏奈と一緒にサウナに来るモコ。

大学の先輩にしつこく迫られている相談をしようとするが、自分本位な杏奈にかき消される。

 

カラオケボックスと同じく、ここでも引っ込み思案のモコ。

男にしつこく迫られているのも、ハッキリとした拒絶ができないからだ。

世の中には一定数、草食動物のようにただ食われるだけの人がいる。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん6巻」小学館

 

「モコちゃん100円貸して」

 

「はい」

(瑞樹さんって小銭返してくれたコトないンだよなぁ……せこい人なのかな?)

 

モコは言われた事には従うが、別に受け流しているわけではない。

瑞樹が小銭を返してくれない不満を溜め込んでいて、瑞樹の人間性の判断に加味している。

 

瑞樹は体型の通り常に飢餓感を覚えていて過食をし、お金に関しても意地汚いところがあり、モコの見立てどおりセコい人だ。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん6巻」小学館

 

仕事終わりに飲んだ後、歌舞伎町の路上で座談会をするモコたち。

杏奈が付き合っている芳則についての悩みごとを瑞樹が聞いていて、モコはここでも聴講生のようにしている。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん6巻」小学館

 

「杏奈ちゃんて子供とばっか付き合ってるし、杏奈ちゃん自身、子供でいたいンだよね?」

 

「いたい。」

 

「でも、ダメだよ、杏奈ちゃん。24歳なんだから痛イよ。」

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん6巻」小学館

(あ 杏奈さん、ムッとしてる。瑞樹さんって決めつけ多いよな)

 

思っていても口に出さないので、モコが誰かを傷つけるようなことはない。

ただ自分の中に溜め込んでいるだけだ。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん6巻」小学館

(でもまあ、本人は楽しんでるしなァ……

杏奈さんってまともな男の人と付き合ったコトなさそう……)

 

モコは黙って人の顔色を伺う事がクセになっている。

相手の性格に合わせて振る舞い、機嫌を損なわないように対応し、不満があっても飲み込んで文句を言わない。

他人と一緒に居ると疲れるタイプだ。

 

常に気を使って自分より他人を優先してきたため、自身でもキャラクターがわからなくなる。

(どんどん自分を見失ってくよ。)

 

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気を使い過ぎて気弱なオーラが出ているので、押し売りは向こうから寄ってくるし、災難は常に誰かが持ってくる。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん6巻」小学館

モコにしつこく交際を迫っていた大学の先輩、朝倉に仕事がバレて店に押しかけてこられた。

 

「お前の仕事を大学で言いふらすからな!!」

 

何とか追い返すが、今度は自宅にまで押しかけてきてドアの前で

 

「今日泊めろよ。」

「無理です。(なんだ、この人)」

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん6巻」小学館

 

「じゃあ明日、みんなにお前の仕事バラすよ。

つーか、早く開けろよ。すげー眠いンだけど…」

 

部屋に入れたら、絶対に眠るだけでは済まない。

新聞受けから1万円を差し出すモコ。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん6巻」小学館

 

「このお金でホテルにでも泊まってください。部屋はホント無理なンで……」

金を取って、今日のところは引き上げる朝倉。

 

ドアの内側で、ガタガタと震えるモコ。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん6巻」小学館

 

他人に遠慮して文句を言わないで生きてきても、それに付け入る卑怯な人間に堕とされてしまう。

次の日、学校を休んで朝倉からの連絡も無視した。

モコが身を守る手段は、部屋にこもることしかない。

 

引きこもりを選ぶ人の性格は、モコのように自分より他人を優先する者が多い。

自分が遠慮していれば他人とぶつかる事がないと思っていても、引いた分だけ踏み込んでくる嫌な人間はいる。

外の世界にこれ以上、遠慮して後ろに下がるスペースがないから、部屋に引きこもってしまう。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん6巻」小学館

 

モコが引きこもっても許さない朝倉は、口止め料として50万円を要求してきた。

大学の掲示板には、風俗店で使用している顔を隠したモコの写真が張り出される。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん6巻」小学館

頭が悪い者は悪事にも手を染めやすく、Fランク同士で被害者と加害者に分かれる。

モコは朝倉に何も危害を加えていない。

角が立たないよう交際をハッキリ断る事もせず、やんわりとした避け方をしていた。

 

それでも理不尽に金と体を要求される。

他人に迷惑をかけないように生きていても、他人に迷惑をかけられて人生が終わる。

 

朝倉に払う金をウシジマくんに借りようとするモコ。

用途の説明で恐喝について言うと

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん6巻」小学館

 

「お前、ハラをくくる気はあるか?」

 

と、ウシジマくんが相談に乗る。

別に親切心ではなく、モコが上客だからだ。

モコを搾取できるのは、ウシジマくんだけだと言わんばかり。

 

これが東京のFランク大学に勉強しに来た、モコの学生生活だ。

人生勉強と言うには、あまりにも汚れた授業内容だ。

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