ヒモっぽい芳則(よしのり)

ハンサムなよしのり 若い男
出典 真鍋昌平著「闇金ウシジマくん6巻」小学館

フーゾクくん編より(4~6巻)

顔はいいのだがトローンとした描写の通り、芯がない性格の芳則。

だから流されて野村と同じ闇金で働かされている

 

働かされているというか、普通の消費者金融から限度いっぱいまで金を借りさせられている。

限度がきたら、今度は知り合いに借りろということなので、従業員というより食い物にされている。

 

ヒモは女性側の需要があって成り立つ、共依存の関係。

ダメな男が自分を頼りにしてくれると、女性は必要とされる実感を得られるからだ。

軽薄で目がトローンとしている

ただトローンとしていても、女性あしらいだけは上手い。

水商売の経験もあるのだが、それも続かなかった。

無味乾燥なノリだけの会話は、気が合うと思わせるテクニックなので、すぐに女性と打ち解ける。

 

ナンパなよしのり

出典 真鍋昌平著「闇金ウシジマくん6巻」小学館

 

芳則に話しかけてきた相手はキャバ嬢か風俗嬢らしい。そういう相手には有効なようだ。

普通の女性だと、男を品定めする時に仕事も重要な要素に入れるから、無職に近い芳則のフィールドは限られる。

 

彼の職歴は、水商売・スカウト風俗情報誌だったが、それらの仕事も向かないとのこと。

こういうダメな人は、ギャンブルが仕事みたいな感覚なのか、なりたい職業がギャンブラー。

 

パチンコ屋に朝から並んでいるような人も、目がトローンとしている。

冒頭の芳則のトローンという描写は、実にリアリティがある

金がない中、ケンカしていた風俗嬢の杏奈(あんな)元に戻るために用意したのがインスタントラーメン。

 

即席メンともやし

出典 真鍋昌平著「闇金ウシジマくん6巻」小学館

 

しかも食器がないのでロックグラスに入れる。

このあたりの行き当たりばったり感が、芳則の人生そのもの。

 

ロックグラスにラーメン

出典 真鍋昌平著「闇金ウシジマくん6巻」小学館

 

グラスを持って、アチッアチッとなる。

風呂は掃除しないでお湯をためてヌルヌルだが、

「別にぬるぬるでいーじゃん」

で済ませて杏奈を納得させてしまう。

 

こういう日常の生活力が欠落している所に、育ってきた環境が垣間見れる

教育してくれる者が家族にいなかったのだ。

ラーメンを食べた杏奈が腹痛を訴えるが、そんな気持ちには同調せずに自分が夢中にプレイしているゲームのラスボスを見せようとする。

 

自分以外にはあまり興味がないのだ。

杏奈がキレ気味になって、雲行きが怪しくなってきた。

杏奈の機嫌をとって、金を引っ張り出す目的を思い出した芳則。

 

それでも

「薬のめば?」

「ドンキで買ってこいよ」

そんな言葉だけで介抱の努力はしない。

 

片手でゲームをする

出典 真鍋昌平著「闇金ウシジマくん6巻」小学館

 

杏奈の腹をさすってあげるが、内心では自分がやっているゲームの事しか頭にない。(チッ! 片手じゃ操作しずれーーなァーー)

杏奈のお腹の痛みが治まってくると、焼肉に行こうと言う芳則・・・。

 

腹痛の相手の気持ちなどみじんもない。

このあたりの人格の欠落具合に、芳則が仕事ができない理由が垣間見える。

他人の視点が持てない人は、仕事も身勝手なものしかできない。

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芳則はお金をもらう時だけシャキッとする

そんなでも杏奈から、携帯電話代とし称して5万円を引き出す。

お金をしまう時は素早い

出典 真鍋昌平著「闇金ウシジマくん6巻」小学館

 

金をもらう時だけ芳則の目が切れ者になっていて怖い

その金で別の女性と遊びに行ってしまうクズっぷり。

こんな風に、芳則はどんな場面でもクズの人間性が貫かれている。

 

できの悪いドラマは物語を進める都合で、人格を無視したチグハグな行動をとらせる。

そこで生まれた違和感に没入感が損なわれる。

 

芳則はちゃんと、顔だけで中身が空っぽ(目がトローン)な人間で描かれている。

ウシジマくんは脇役の人格・行動がしっかりとしているので、主要人物の周りで起こる大事件も違和感なく読み進められる。