ヤンキーくん編より(2~3巻)
アパートの隣人に土下座で金を借りる女
返済日に闇金のウシジマくんへ返済するお金がなく、アパートの隣人に土下座で金を借りる女。
追い詰められた人は、恥も外聞もなくなる。
土下座というよりまるでホラー
この日の返済は、わずか1万円。
それでもキッチリと取り立てにくるのがウシジマくん。
金額の大小に関わらず、キッチリ取り立てるという事が大事なのだ。
これをナァナァにしてしまうと、債務者(お金を借りた側)がナメてきて、返済しなくても大丈夫だと思われてしまうからだ。
仕事熱心なウシジマくんの追い込みにより、アパートの隣人にアポなしで借金の催促にまわる女。
部屋にいる若い男がノックをされて出ると、いきなりこの光景。
「千円貸してください!」
『え!?』
時代劇でしか見ない土下座が、玄関を開けたらやられている非日常。
貧乏人というのは、他人の平衡感覚を奪うような奇行を平気でする。
借りる金額は1,000円。
これもウシジマくんの指示であろう。
おばさんが土下座をして回っている間、ウシジマくんは少し離れたところでケータイゲームをやっている。
一人に1万円を借りるより、沢山の人から1000円を借りる方が可能性が高い。
土下座でお金を求める相手に対して、貸す側は1000円くらいならと思う。
逆に貸さないと良心が痛む。
こういう人間心理につけこむのがウシジマくん。
同じアパートでも顔見知りではないので、若い男は土下座の女が誰なのかわからない。
『おばさん誰だっけ!?』
「101号室の内田幸子と申します。
おねがいします・・・千円貸してください。」
大体が、幸子という名前の女が幸福だったことがない。
親が現状が不幸せだから、産まれた子に幸子と名付けたとしか思えない。
賃貸は、同じような経済状態の者が寄り集まっているものなので、若い男にもお金が無い。
貧乏人は助け合いの精神があると思われがちだが、助ける金など持っていないのが現実だ。
『ねェよ!』
と若い男がドアを乱暴に閉めようとすると、土下座していた女がドアに手を突っ込む。
『あ!?』
ドアをこじ開けるおばさん。
「おねがいします……千円貸してください。」
一方的に借金の依頼に押しかけてきたくせに、断ろうとすると、この恨みの表情。
ウシジマくんが女に土下座をさせて回っているのは、屈辱を与えておけば、次回は取り立てに来なくても女から返済してくるようになるからだ。
だが、それに付き合わされる近隣住人はたまったものではない。
若い男は、女の千円への執念にゾッとする。
『(ゾォ…)ねェもんはねェ!!
手ェどけろ!!』
若い男にしたら、いい迷惑だ。
自分が追い詰められた人というのは、他人の気持ちなど推し量る余裕はない。
ただただ、自分の苦しみから解放されたい。
というより、自分の苦しみのおすそ分けをしている。
近所同士助け合いというが、こういう人が他人を助けることはない。
アパート以外にも土下座で金を借りる
女のアパートの隣人、8部屋中で貸してくれたのは2部屋。
つまり2千円。
大体、こんなもんだろうと思うけど、ウシジマくんは容赦しない。
同じアパートというくくりならまだしも、全く関係のない民家へ土下座させに行く。
普通に家に住んでいて、いきなり土下座で金を貸してくれと言われたら恐怖する。
近隣の住民もいい迷惑だ。
この女が、後日1000円を返しにくるとは到底おもえない。
賃料が安いエリアに住むという事は、少なからずこういう不利益が生じる。
借金をしたばかりに、迷惑な隣人というレッテルを貼られてしまう女。
借金というのは怖いもので、特にウシジマくんに借りてはいけない。
今日日、こんな教訓が得られるのはリアルなウシジマくんくらい。