コミュ障の人間関係が難しい理由

おじさん
真鍋昌平著「闇金ウシジマくん8巻」小学館

フリーターくん編より

 

コミュ障は元来、他人に害をなすような性質はない。

それどころか常に大きく譲歩して、遠慮しながら生きている・・・と、本人は思っている。

 

だが周囲の人はコミュ障の行動に困惑し、やがて倦厭(けんえん)していく。

このギャップが生まれる理由とは?

 

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コミュ障は思い込む

実家に住んでいて、仕事は不定期で派遣をやったりやらなかったりの宇津井

地元のさえないショッピングモールに行くと、ゲームコーナーの親子が目に入った。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん8巻」小学館

 

別に変な意味ではなく、ゲームをする子供を少し眺めていたら、親同士の会話が耳に入る。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん8巻」小学館

 

「こないださー プール行ったのー。

でっかいスベリ台があるトコ。

チョーガラガラだったんだけどさー、へんなおたくがいて一人で座ってたのよォ。

そいつ、プールの子供見ながらへんなトコゴソゴソして」

 

と、変質者を監視員に注意させた話をしていた。

それを聞いて宇津井は

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん8巻」小学館

 

(俺に言ってンのか?

遠回しに俺に言ってンのか?

俺は違うぞ!!)

 

とその場から離れた。

親たちは宇津井の事に全く気が付いておらず、遠回しに変質者扱いされたというのは宇津井の思い込みだ。

 

コミュ障は自分の頭の中で思い描いた他人とコミュニケーションしていて、現実世界の他人とはコミュニケーションしていないから、ギャップが生まれる。

 

コミュ障が被害妄想になる理由

コミュ障に対して

 

『被害妄想』

 

の一言で片づけても、本人はそう思っていないので溝は埋まらない。

コミュ障が、なぜ人に対して過剰に警戒するのかを理解しなければならない。

 

人は初対面の時、その人がどういうタイプか考える際、過去に出会った人を参考にする。

この参考を対人モデルとする。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん8巻」小学館

 

問題はコミュ障が対人モデルを作ったところにある。

彼らの多くは元来、人の顔色を伺う性質が強く、なるべく他人の気分を害さないようにする繊細な人間だった。

 

だが意地の悪い人間というのはどこにでもいるもので、人の顔色を伺う者を自分より弱い者だと決めつけ攻撃をした。

 

その経験が強く印象に残り、対人モデルに大きな影響を与えた。

コミュ障の被害妄想は、実際に経験した事を基にしている。

 

初対面の人の行動を嫌な人に関する情報と照らし合わせ、少しでも疑わしい行動があると、すぐに『嫌な人』認定をするようになってしまった。

 

だからコミュ障は人との交流を避け、対人モデルは余計に偏ったものになってしまう。

 

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コミュ障の警戒心は強い

コミュ障でも性的な欲求はある。

宇津井が出会い系サイトをやっている途中でポイントが不足する。

 

そこで近所のコンビニに走っていき、コンビニ決済でポイントを購入する。

 

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無事にポイントを加算して、出会い系を続ける。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん8巻」小学館

 

「やっぱネットのカード決済は怖いからな!」

 

人の顔色を伺うのも、カード決済を警戒するのも同じ気質に由来する。

 

この能力を活かせばトラブルを未然に防ぐシステム設計などができるが、その前段階の就職で他人と関わる事を忌避するので、社会の底辺にいる。

 

底辺にいるほど仕事で嫌な人間と接する場面が多いので、コミュ障の人生では

 

『世の中は嫌な人ばかり』

 

となって、自分を守るために殻に閉じこもる。

 

中には引きこもりになる者もいるが、部屋をこじ開ければ解決すると思っている人は、最初にコミュ障の原因を作った悪意のある人間と大差ない。

 

コミュ障のオシャレ

出会い系で待ち合わせを決めた宇津井は、ユニクロより安いファッションセンターに服を買いに行く。

 

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買ったのは900円の、丈が足りないジャケット。

日雇い派遣の宇津井は

 

ジャケット=社会人

 

という潜在的な憧れを抱いている。

ジャケットを着ていれば、とりあえず一人前に見られると思っている。

 

ジャケットは自分が社会に溶け込むための道具であり、劣等感を抱えた心を守る鎧でもある。

待ち合わせは相模原駅。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん8巻」小学館

 

相模原の駅だけは開発を頑張ったが、周辺はハリボテのセットのような街並みでデパートも建たないエリアだ。

 

川の流れがよどんだ場所のように、新しい文化が流れてこない所は八王子に似ている。

そこから出なくても何となく生きられてしまうので、人生が停滞している者にとっては変わるキッカケがない場所だ。

 

偽名の時は多少楽

待ち合わせに現れたのは二十歳そこそこのユカ。

宇津井的に出会い系の中では許容範囲の見た目だ。

 

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「あの…ウツダ(宇津井の偽名)さん?」

 

「え!? あ… はぁ……」

 

いちいち身構えるから、急な返事ができないコミュ障。

コンビニでも店員に何か聞かれると

 

あっ、はい」

のように、『あっ』という身構える間が必要だ。

 

コミュ障は他人が見えていない

ユカが、宇津井に車の場所を聞く。

 

「あの… 車はどこに?」

 

「え!? 車!? ないです。

あ…… いや…… 事故っちゃって修理中!」

 

せっかくジャケットを着たのに、車の事で半人前に思われたくないので、しょうもないウソをつく。

郊外の田舎では、車も大人のステータスだ。

 

ユカが駅前のタクシー乗り場を見る。

 

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すると宇津井は

 

「今、地球温暖化で車の二酸化炭素ヤバイでしょ!?

徒歩がイイよ! これからの時代はタクシーなんかより徒歩がイイよ!」

 

と言って、徒歩移動をする。

コミュ障は意識が高い系のウソをつく。

 

コミュ障がタクシーを苦手とするのは料金だけでなく、ドライバーに行き先を教えたり会話をしなければならなくて苦痛だからだ。

 

道を上手く説明できないと、ドライバーに嫌悪されるのではないかプレッシャーに感じるから、ほとんど使わない。

途中にホテルの看板が立っていて

 

【↑相模原国道沿 この先4Km】

 

と出ていた。

ヒールを履いたユカは

 

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(あと4キロも歩くのかな? ヒールが痛いよォ……)

 

と思っているのに、宇津井の頭の中は

 

(ラブホ…… この女とラブホ…)

 

としか考えていない。

自分の頭の中に描いた他人しか認識しないため、実際のユカの事は見ていない。

 

コミュ障の恐るべき気の利かなさ

ユカの靴に気づいたワケではなく、ただ自分がホテルを意識して緊張してきたから

 

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「あの…… よかったら俺のいきつけの店 行きません?」

 

とユカに言う。

 

「は…はい。」
(ちょっとおなかも減ってたしイイかも…)

 

だが、子供の宇津井が行きつけなのは、GAME王国という大きめのゲーセンのだった。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん8巻」小学館

 

そこで自分がランキング上位のリズムゲームをやって、ユカに見せる。

 

自分が楽しいものは、相手も楽しいだろうと勝手に思っている。

ユカは足の痛みを癒し小腹を満たしたいのに、宇津井は一向に気がつかない。

 

宇津井の頭の中のユカと、現実のユカは違う。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん8巻」小学館

 

「あ…… メダルゲームとかしたい?

俺、メダル2万枚貯玉してるからやらせてあげるよ!」

 

「いいです。」

 

宇津井は自分の得意なフィールドで、精いっぱいもてなしていると思っている。

 

「そう? ジュースでも飲む?」

「いいです。」

 

「アイスの自販機あるけど……」

「いいです。」

 

宇津井は全部ハズしている。

あまり人と接しない宇津井は、他人が欲するものや状態を正確に拾う事ができない。

 

特に女性の対人モデルが極端に少ないから、ヒールで長距離歩く事の辛さや、ゲームを見るのに興味がない事に気づかない。

 

コミュ障の人間関係は自分の中で完結している

ゲーセンから出て、再びラブホまで徒歩の強行軍が始まる。

階段を上って歩道橋を渡るところで、ユカは足の痛みにたまらず

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん8巻」小学館

 

「痛っっ……」

 

と声を上げるが、宇津井は自分の事しか考えていない。

 

「クソッ。ホテルまであと2キロもあるよ!」

 

コミュ障が他人の顔色を伺うのは、自分に害になりそうなシチュエーションの時だけだ。

 

これは臆病な子供が大人の顔色を伺うようなもので、他人をケアしたり気遣ったりという大人が見せる配慮とは違う。

 

だからコミュ障本人は他人に臆病なくらい気を使っていると思っていても、周囲はコミュ障を空気が読めない人間だと思っている。

 

このギャップが、コミュ障を孤立させていく。

 

コミュ障の会話に脈略が無い理由

ホテルにつくと、いよいよユカを意識する宇津井。

当のユカはヒールで4Kmも歩いたので

 

(足 痛い…)

 

としか思っていないが、宇津井は

 

(会話 会話…)

 

と、沈黙を埋める事をミッションのように考えて焦っている。

コミュ障は自分の頭の中だけでシナリオを決めていて、相手からのメッセージを拾わない。

この場面では、

 

『遠かったね』『足、大丈夫?』

 

という感情の共有をするところだが、宇津井は

 

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「キミの夢とかナニ!?」

 

「え!?」
(えっと… いきなり夢の話?)

 

宇津井は高尚な話で自分をよく見られようとして、初対面の相手にラブホで夢の話をしようとする。

コミュ障は自分がどう見られるかを強く意識するから、TPOと離れた突飛な話題を出してしまう。

 

コミュ障が脈略のない話を始めるのは、本人の頭の中だけで練られたシーンを現実に持ってこようとするからだ。

 

頭の中で勝手にストーリーが展開している。

当然、相手は困惑の連続で会話にならない。

 

こうしてコミュ障は人間関係にますます苦手意識を持つ。

 

コミュ障は人間関係を深めたくない

沈黙に耐えかねて宇津井は早々にお金を払う。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん8巻」小学館

 

お金が介在する関係の方が安心する。

 

受け答えが下手でも人間性を否定される事はないから、キズつかないで済む。

若くして出会い系を使っているユカにも、似たような所があって意外と意見が合う。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん8巻」小学館

 

暗がりの中で少し本音を話し合い、単なるお金で出会うのとは違う感じになる。

ユカの彼氏は出会い系で知り合った40歳のバツイチの男で、ただ気楽だから付き合っているに過ぎない。

 

宇津井にも、関係を深められる可能性がある。

ベッドの上でコトに及んで、ピロートークで良い雰囲気になってユカと見つめ合って、お互いの目が反射してキラキラ見えるロマンチックなムードだ。

 

「キレイだ……」

 

「キレイだね。」

 

だがここで宇津井は、ユカの口元に生えた産毛に目を奪われる。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん8巻」小学館

 

(女も口ヒゲ生えるンだ……)

 

肝心なところでやっぱり他人と共感する事から目を反らしてしまうコミュ障。

 

翌朝、ホテルからの帰りに手を繋いでいる二人。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん8巻」小学館

 

だが宇津井は

 

「俺、バス停あっち側だ。」
(重い……)

と言って自分から手を離してユカと反対側のバス停に立つ。

 

先にバスが来て乗ったユカがバスから手を振るが、宇津井はポケットに手を突っ込んだままだ。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん8巻」小学館

 

コミュ障にとって他人と少し距離が縮んだら、今度は相手に幻滅されて関係を切られる事を恐れる。

だから自分から関係を断ち切ってしまう。

 

コミュ障は本人だけの問題なのか?

コミュ障の中には生来、脳の機能の問題で他人との空気感を感じ取れない者もいる。

そこに意地の悪い人間がいると、イジメに発展する。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん9巻」小学館

 

イジメにあった期間が終わってからも、コミュ障の頭の中にイジメた人間の対人モデルが居座り続け、苦しめ続ける。

 

コミュ障が初対面の人と会うと、イジメた人間の情報と照らし合わせる。

この作業を繰り返す内、自動車の運転に慣れるのと同じように、脳に嫌な人間の情報が想起されやすくなる。

 

いわゆるトラウマを抱えた状態で、人と会う度に高緊張状態で精神が疲弊して引きこもるようになる。

それを理解していない周囲の人間は、部屋から引きずり出せば問題が解決すると思っている。

 

コミュ障にはまず、優しい人間の環境を与えて、対人モデルの更新から入らなければならない。

 

人間観察の例

エゴグラムを使って人格を見抜く際に、時間やお金の使い方でわかるのは責任感だ。

 

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責任感は向上心やリーダーシップとも比例する。

 

責任感の強い人間は、自分にも相手にも時間の順守を求める。

宇津井は相模原で待ち合わせの際、相手より早くやってきていた。

 

だがこれは他人の顔色を伺うのと同じく、他人に怒られたくないという強迫観念に近い気持ちからきている。

相手が遅れても咎める事はない。

待ち合わせの時間に過剰なバッファをとる人は、人の顔色を伺う性質がある者が多い。

 

このような方法で点の情報を集めていって、対象となる人物を正確に見抜いていく。

宇津井は見立ての通り、仕事をすぐに辞めてしまうし、お金にもだらしなく向上心のない人生を送っている。

 

ウシジマくんの超現実的な人物描写は、人を見抜くトレーニングになる。

ウシジマくんの洞察力
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人を見抜く方法

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