お金の使い方がわからない人たち

若い女
真鍋昌平著「闇金ウシジマくん43巻」小学館

お金の使い方には、その人の人格が大きく反映される。

お金は何だかんだ、尊厳を売り渡せば手に入れられる方法があるから、底辺の人間でもありつく事はできる。

 

底辺の人にとっては、自由にお金を使う方が何倍も複雑で難しい。

お金があると計画的な使い道を考えなければならず、彼らにとって煩わしい状態だから捨てるように手放してしまう。

 

自由に使えないようにした方が本人のためだが、底辺の人たちを解放するメシア気分の者たちが反対する。

 

だがそういう活動家は底辺の人たちにとって『束縛』は保護であり、『自由』は育児放棄と同じ虐待であることを知らない。

 

お金の使い方がわからないまま社会に放り出された人たちは、なぜお金を捨てたがるのか?

お金を捨てるように使う人たち

ウシジマくん編より(39~46巻)

 

スーパーで買えるチョコ菓子の箱に、1万円札を入れる風俗嬢の多栄子(たえこ)さんに、居候の文香(ふみか)が聞く。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん43巻」小学館

 

「何してるの? 多栄子ちゃん。」

 

『この箱、1万円のピン札だったらピッタリ100万入るのよ!』

 

「100万円貯金箱すごーい!」

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん43巻」小学館

 

多栄子さんはご飯の食べ方も教わっていないから、20代でおばさんのような太った体型をしている。

お金についても肝心な使い方は学ばず、偏った豆知識しかない。

 

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お金を貯められない

多栄子さんは菓子の箱に100万円貯まったら銀行に預けに行って、それを100回すれば億万長者だとはしゃいでいる。

彼女にそんな根気はないと思いながらも、居候の身なので文香は機嫌をとる。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん43巻」小学館

 

「1億円!? すごーい 億万長者。

でも(風俗の)客1万人分かぁー。果てしないね」

 

『ポッキー1万本って思えば楽勝! 粗ちん粗ちん。中身あげるよ。』

 

箱だけが目当てで、チョコ菓子の中身を文香にあげてしまう多栄子。

お金を支払う価値があったのはチョコ菓子の中身だが、多栄子さんは箱だけが欲しかった。

 

このチグハグさがお金の使い方を知らない人の行動だ。

価値のある物を捨てて、ゴミの方を残す。

 

こんな多栄子さんだから、100万円が1回も貯まらずに終わるのは目に見えている。

こういう人たちは30万円も貯めたら、キャパオーバーになって持て余してしまう。

 

人生を常に予備資金ナシで生きているから、ほんの少しの躓きで詰んでしまう。

 

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食も歪んでいる

多栄子さんは食も歪んでいて、カップうどんに湯を注いで20分間放置したものを食べる。

 

 『20分うどんできたわぁ~』

 

これは災害時に使えるサバイバル術だが、お金がない人の生活は毎日がサバイバルだから日常でやっている。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん43巻」小学館

 

カップうどんを長時間放置すると、麺の感じが普段と違って面白い。

多栄子さんはたまに食べるのではなく、部屋に山積みになるほどカップうどんを蓄えている。

 

お金よりも、物があった方が安心するのだ。

そして食べた後にトイレに入って、指を突っ込んで吐き出す。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん43巻」小学館

 

お金を出して買ったものを食べて、それを吐き出す。

多栄子さんは稼いだお金を毎日トイレに捨てている。

 

心のバランスを崩しやすい風俗嬢は、自傷のように飯を食う。

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お金が怖い

文香は自分の客に身の上話を聞かれた流れで、多栄子の事を話す。

 

「ルームシェアしてる子も風俗でお金稼いでるのに

いつも金欠なんです。今日も5万円貸したの。」

 

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん43巻」小学館

 

「元々金銭感覚おかしなコで

コンビニで毎回1万円も使うの。

大量に買った新商品のスナック

2、3枚食べて捨てたりするの。」

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん43巻」小学館

 

「稼いだお金も私が貸したお金も

彼氏に全部貢いでる。」

 

多栄子さんが彼氏と思っているのが雀荘の店長で、金持ちの客に投資話をもちかける詐欺師という、どこまでが本当かわからない男。

 

多栄子さんの選択は物でも人でも、常に自分がいらないものを選んでお金を捨てている。

一般人が能動的にお金を稼ぐのと違って、彼らは人生で何かに稼がされてきた。

 

だからお金は使い方のわからない得体の知れない紙であり、自分を働かせる怖い紙でもあるので、深層心理で早く手放したいと思っている。

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老人になってもお金の使い方がわからない

ヤンキーくん編より(2~3巻)

 

カウカウファイナンスの高田が、おばあさんに取り立てに行くと、

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん2巻」小学館

 

「もう水道代も払えなくって……」

 

『あっそ。 今日、年金の振り込み日だよね。』

 

素っ気なく郵便局に連れていかれて、年金から取り立てられる。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん2巻」小学館

 

「お刺身食べたいンだけど……」

 

『あっそ。 パチンコやめたら食えるよ。』

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん2巻」小学館

 

「パチンコやめたら退屈で死んじゃうよォ。」

 

『あっそ。そんじゃまた。』

 

冷たいようだが、これが正しい対処法だ。

弱音を吐くと飴をくれる人がいるから、おばあさんは甘えてこうなってしまったのだ。

 

もし、おばあさんに手心を加えて借金を待ってあげたらどうなるか?

パチンコに使ってしまって、利息が膨らむだけだ。

 

払うべき優先度が高いのは水道だが、水道は支払いを猶予してくれるからパチンコを優先してしまう。

仏心が、ダメな人をもっと腐らせる。

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お刺身か遊びか

数年後、パチンコ屋でパチスロをやってるおばあさん。

未だにパチンコ屋通いをやめられない。

ダメな人は生ぬるくしていると、1ミリも進歩しない。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん34巻」小学館

 

「お刺身食べたいなァ……」

 

年寄りは食欲が衰えても、生魚には固執する。

取り立てに来た高田に突っ込まれる。

 

『じゃあパチスロやめろよ。』

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん34巻」小学館

 

「パチスロやめたら退屈で死んじゃうよォ!!」

 

『はいはい。

今日の返済はキッチリもらうから。』

 

お金の使い方を知らない人は、建設的な時間の使い方も知らない。

自由な時間を与えられても、放置子と同じで何をしたらいいかわからないからパチンコ屋に行ってしまう。

 

関連:長生きしたヤクザを待つ地獄

 

時間よりもお金の使い方は難しすぎて、もっとわからない。

彼らはお金を貯めると必要なものと交換できるというシステムを理解できない。

 

お金を貯めてしまったら計画や配分を考えなければならないので、彼らは30万円くらいたまったら頭がパンクする。

 

未来の時間軸や重要度の順位付けなど、彼らには高度過ぎてできない。

シマリスは自分が貯めた木の実の隠し場所を忘れるかわいいところがあるが、底辺の人もそれと同じようなものだ。

 

大人になっても子供みたいなお金の使い方だから、社会に居場所がない。

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200万より1000円を惜しむ金銭感覚

フーゾクくん編より(5~7巻)

 

ホストにハマっっている風俗嬢の杏奈

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん7巻」小学館

 

「杏奈、お前、俺の誕生日までに200万円貯めてくれよ。

3か月あったら貯められるだろ?」

 

『え? 店がガサでなくならなければ、イイよ。』

 

200万円は高額だが、人に強制されるとお金が貯められる。

だが、貯めたそばからむしり取られるから自分には何も残らない。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん7巻」小学館

 

「今日シャンパンもう1本どう? 締め日だし、頼むよ!」

 

 『え? もう無理だよ。』

 

一応は抵抗するが、強引な男に押し切られる。

ホストクラブからトボトボ帰る杏奈。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん7巻」小学館

 

『50万円かァ…

遣ったなァ…

家まで歩いて帰ろ……』

 

店でぶちまけるだけのシャンパンに50万を払った後で、タクシー代1000円ぽっちをケチってもどうしようもない。

 

散々飲み食いした後、ダイエットのために食後のプリンをちょっと残しするようなものだ。

せっかく若い身を削ってお金を稼いでも、ホストに吸い取られて何も残らない。

 

歌舞伎町は、人がどこまで身を落としても生活できるかを調べる実験場だ。

いらない街、歌舞伎町が存在する理由
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お金の使い方で人を見抜く方法

事件が起きて犯人の周りの人に聞くと

 

「そんな風には見えなかった」

 

という意見が出て、すぐに犯人の二面性で片づけられてしまう。

周囲の人に人格の判断基準がないだけで、犯人は犯罪者になるべくしてなった人間だ。

 

近所の人に聞いても人物像がボヤけるだけだから、犯人の行動を拾っていった方が正確な答えが出せる。

 

お金に対する距離感には、その人が付き合うべき人かどうか判断できる情報が多く含まれている。

対象となる人物の特徴を拾うのに、エゴグラムの視点が役に立つ。

もっと詳しく:第三章 観察をして人格の断片を拾っていく

 

金の価値を教えてくれるウシジマくん

ウシジマくんは、他人をお金の使い方で理解する。

 

これはお金を理解しつくしているから出来る事だ。

ウシジマくんは、カウカウファイナンスの高田に教える。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん29巻」小学館

 

「金は使ってこそ意味があんだ。

一万円の原価知ってるか?」

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん29巻」小学館

 

「約28円。金は価値と交換できる引換券だ。

金自体に価値はねえよ。」

 

と言って、仲間で焼肉に行き有効利用する。

世の中には金を捨てるか、貯めて腐らせる人間が多くて、使い方を知っている人は少ない。

 

今日もどこかで老婆の

 

「お刺身食べたいなぁ…」

 

の声が聞こえる。