治安が悪い街の特徴~ウシジマくんの地元~

名場面
真鍋昌平著「闇金ウシジマくん18巻」小学館

ウシジマくんの地元が特定しにくいのは、いくつかの街が合成されているからだ。

治安の良くない街で育つというのはどういう事なのか、街の特徴と共に見ていきたい。

 

治安と不動産価格には相関関係があり、地価の分布に沿って人の生息域が分かれている。

最近は地価が安いエリアでも駅周辺だけ小綺麗に整えられて、賃料が安い割にいい街に見せようとしている。

 

だがハリボテの裏にある本当の街の姿は、地価の安さに比例して怪しい生態が広がっている。

特に防衛手段を持っていない子供にとって、街に潜む脅威は大きい。

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八王子の暴走族文化

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん2巻」小学館

ウシジマくんと同郷の滑皮愛沢は暴走族の出身で、大規模な暴走族は八王子の文化だ。

 

ウシジマくんと間接的に同郷の描写がある石塚ミノルは、明確に八王子の暴走族とされているので、ウシジマくんの地元その1として八王子をあげる。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん5巻」小学館

 

ちなみにこれが石塚ミノルで、八王子には型落ち高級セダンを崇め(あがめ)たてまつる文化がある。

このあたり、神輿の土着信仰からきている。

 

八王子は道路が広い割に夜間交通量は少なく、集団走行ができる。

人口密度も低いから店の駐車場は広いし、どこかしら広い空き地もあり集会場にも困らない。

 

だから暴走族が大規模化しやすい。

埠頭のある大田区以外では、都市部の暴走族は小型化・スクーター化している。

 

グレる若者は社会の枠を打ち破っているように見えて、結局は不動産価格の枠組みの中で暴れているに過ぎない。

 

八王子は都心から遠く離れた場所に位置していて、江戸時代の名残で城塞都市のように孤立している。

人も文化も流動性が低く、暴走族も農民の土一揆の系譜だ。

 

滑皮が愛沢に課した暴走族のケツモチの上納金は別にして、地元同士ならもう少し情がある関係だ。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん2巻」小学館

 

あまり恨みを買うと、後々まで八王子で暮らす際に支障がでるからだ。

暴走族と言っても昼間は正業に就いていて、じきに社会に復帰していくものも多くいる。

 

八王子にすむ若者は、この先も変化しない街で退屈に生きていく予感があり、若い内に花火を打ち上げておきたいという心理が根底にある。

 

喧嘩も利害ではなく強さを決めるために決闘をするなど、村相撲を彷彿とさせる。

このように八王子の暴走族には土着の文化が強く影響している。

 

八王子は山間部の閉鎖性の上に地元への執着が強いので、自由民のウシジマくんの気質には少し合わない。

 

川崎

ウシジマくんと同郷の刈ベーという男の生活から、地域を推測する。

家は外階段があるアパートで、雨よけにプラ製の波板が使われているような昭和の作り。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん30巻」小学館

 

ここに親と住んでいて、玄関先で話していると父親が

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん30巻」小学館

 

「ゴチャゴチャうるせーぞ。

夜勤明けで寝てェんだ 外で話せ!」

 

と叫ぶ。

この口の悪さと、おじさんが夜勤で勤められる工場があるというのを特徴としてピックアップすると、工業地帯が浮ぶ。

 

さらに刈ベーに今の生活が満足か質問すると

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん30巻」小学館

 

「してる訳ねーし。

先輩にすっげー金せびられっから

ひったくりがだりいし。」

 

川崎では上の人間が下の人間に何かと因縁をつけ、金銭を要求する文化が見られる。

一緒にタバコを吸っていてジャケットに臭いがついたから20万など、かなりエゲつない因縁の付け方をする。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん18巻」小学館

 

下の人間は苛烈な要求に犯罪以外の選択肢がなく、窃盗やひったくりに手を染める。

川崎のような工業地帯には、全国から人が集まってくる。

 

近隣に親類縁者がいない者は、コケた時のバックアップがないから簡単に転落する。

そして貧困家庭が集まって、アメリカのゲットー(スラム)のような文化が広がっていった。

 

八王子が土着のヤンキーなら、川崎はギャングに近い。

上下の信頼関係はなく、獲る者と獲られる者にわかれる。

 

ウシジマくんの中学時代の描写にも、川崎っぽさが出ている。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん18巻」小学館

 

川崎には許可を得ないで建てられた家が多い地区があり、道が非常に入り組んでいる。

 

ウシジマくんが同級生をつるす時にクレーンを使ったが、こういう設備も川崎なら豊富にある。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん18巻」小学館

 

隣接する大田区にも近い環境があり、暴走族文化もあるがスラムと呼ぶほどではない。

似たような治安の悪さだと厚木があるが、都心から遠すぎるし潮っ気が足りない。

 

ウシジマくんの行動力・フロンティアスピリッツには、航海に物怖じしない潮っ気を感じる。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん18巻」小学館

 

川崎のような街に一般人らが進出する時、安全なコロニーであるタワーマンションに住まう。

だが子供の学校を公立にしてしまうと、子供はサファリパークを自転車で回るように細心の注意をしないと生きていけない。

 

そういう緊張感が子供の知恵を発達させる。

獣側の方の子らにも、救いがないわけではない。

 

ひどい環境から抜け出す時に人間の能力は大きく向上するので、ウシジマくんのように知恵者になる可能性はある。

杉並区・世田谷区

ウシジマくんが中学時代に揉めた鰐戸三兄弟のモデルは、渋谷区笹塚の出身だ。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん18巻」小学館

 

笹塚は一応、渋谷区だが杉並・世田谷区と言ってもいい位置にある。

この兄弟は半グレの関東連合とも接点があり、関東連合は主に杉並・世田谷区の人間で構成されていた。

 

ゆえにここもウシジマくんの地元の要素の一つに加える。

半グレ集団は元は暴走族であったが、勢力を拡大する中で渋谷のチーマーと衝突した。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん40巻」小学館

 

チーマーというのはギャングのサークルのような団体で、渋谷でパーティー券の押し売りやオヤジ狩り(集団強盗)などを行っていた。

 

チーマーが様々な出身地から渋谷に集まっていたのに対し、関東連合側は杉並・世田谷の連中で結束していた。

 

結束というと聞こえがいいが、相互監視されていて抗争をさぼれない事を意味している。

そんな組織の違いがありつつ抗争が繰り広げられた結果、渋谷は関東連合が支配するようになった。

 

この時にチーマーを吸収した事が、後に半グレへと変化する要因になった。

 

人間は親族を大事にし、次に周辺の人間に親近感を抱く。

この輪が広くなるにつれ他人を同族だと思わなくなっていき、部族間抗争や奴隷狩りのような事を平気でする。

 

関東連合は地元から離れて、渋谷という繁華街を手に入れた。

吸収したチーマーの金銭獲得手段や、街にあふれる若い女や薬物に触れ、暴走族から変異していった。

 

渋谷にいる女は自分たちと同族の女ではない。

AV・風俗・商売道具に堕としても心は痛まない。

 

こうして組織形態は暴走族のまま、活動を国道から裏街道へと移していって、半グレというものになっていった。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん40巻」小学館

 

半グレはヤクザのような事をするが面倒な規律はない。

後ろ盾がない代わりに自由にできる。

そんな気質はウシジマくんの稼業に少し重なる。

杉並区・世田谷区がウシジマくんの地元っぽくない要素

杉並区と世田谷区はスポット的に荒れているだけで、地価も高めで広範囲にわたって荒廃した地域ではない。

 

関東連合を輩出したのは、様々なタイミングが重なったからだ。

暴力団が法律で抑えられたタイミングで、渋谷に進出できてしまったがゆえに汚染されてしまった。

 

本来なら暴走族から引退するような年頃だった者たちが、渋谷の毒気で生涯ウラ街道を歩く事になってしまった。

杉並・世田谷は地域性としては地獄ではない。

 

むしろ渋谷の悪質性の方が問題だ。

風水は衛生学を分かりやすく広めるためのものだが、渋谷で起こる事を見ると本当に悪い気というのが流れているのではないかと思いたくなる。

 

渋谷で変質した半グレたちは塀の中や海外逃亡、結局はヤクザに取り込まれる者など、いずれも望まない人生を送っている。

 

杉並・世田谷の環境だけだったら、そこまで狂暴化はしない。

このように八王子や川崎、杉並区などの不良文化のエッセンスを合成して、ウシジマくんの地元はつくられている。

 

東京の治安に興味がある人は、古地図を参考にしてみるといい。

湿地で岡場所(風俗関連施設)があったような場所がどうなのかや、江戸払い(追放刑)の外周も興味深い。

 

江戸払いの境界の四谷大木戸の外にあるのが新宿二丁目や歌舞伎町で、他方千住大橋の境界の外にあるのが、かの足立区だ。

東京は街が塗り替えられているようで、少し掘り下げると江戸の頃からの名残がある。

 

関西・北九州

ヤクザの飯匙倩(ハブ)は、原宿界隈でアパレルに出資をして、そのアガリをハネるシノギを持っていた。

関連:センターTこと中田

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん35巻」小学館

 

実際に裏原などがもてはやされた頃、北九州を筆頭に関西や名古屋系のヤクザが出資していた。

これに加えて飯匙倩(ハブ)がタンカを切る時

 

「そのケンカ買ってやるから

いつでも腕でこんかい!?」

 

という言葉遣いをしている。

関西風に聞こえるが、言葉はうつりやすいので飯匙倩(ハブ)を関西・北九州の出身と仮定する。

 

飯匙倩(ハブ)は、石を投げればポン中に当たるような荒れた工業地帯で育ったという。

そこで肉体労働をしていた17歳の時に、頭のおかしい人間につきまとわれていたのだと言う。

 

「絶対的な狂気の象徴みてーな先輩でな。

そいつが柴拳って奴だ。」

 

これが柴拳。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん35巻」小学館

 

底辺界では車も人も大きいのが正義。

恐怖の象徴なのに愛称がつくあたり、関西以西らしい。

頭のおかしい人は経済・規範の問題でいい界隈に住めない。

 

その分、生活レベルが低いエリアに生息域が集中している。

飯匙倩も17歳で肉体労働せざるを得ないので貧しい家ではあったが、頭がおかしいレベルではなかった。

 

家庭を持ち、子供が産まれてまっとうな道を歩む事もできたはずだ。

だが生まれ育った街が悪かった。

 

柴拳は飯匙倩を毎日連れまわしてはぶっ飛ばしたり酒を飲ませたりしていた。

暴力だけでなく、『酒を飲ます』というのが気味の悪い所だ。

 

大阪は人情の街と言われるが、その実は過干渉で人の領域に土足で入ってくる感性がベースにある。

言い換えれば人が用を足している所に、トイレの小窓を開けて平気で話しかけてくる感性だ。

 

柴拳は自分と会わずに飯匙倩が女と遊ぶのを許さず、ハブの女を目の前で手ごめにする。

こういうリミッターが外れた人間は、自分の狂気を他人にも伝播させようとする。

 

他人への執着心が異常で、自分か相手のどちらかが壊れるまで執着が続く。

追い詰められた飯匙倩少年は柴拳を刺し、そこからヤクザの道に進んだ。

 

柴拳が死んでも、柴拳の狂気は飯匙倩に引き継がれて続いていく。

街がなかなか浄化しないのは、遺伝のように狂気が引き継がれていくためだ。

 

足立区の竹ノ塚

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん15巻」小学館

 

足立区はかつて女子高生にまつわる残虐な事件があり、全国に悪名を轟かせた。

その揺り戻しのために、治安改善につとめた。

 

新たな鉄道も開通し、現代文明も流入するようになった。

だが最悪期は脱出したとはいえ清流と言えるまでではなく、鮎は住めないけどブルーギルは住めるようになったというレベルだ。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん15巻」小学館

 

ちなみに街に住む人に意見を聞いても、順応力の高さから参考にならない時がある。

例えばドブ川に好んで住むタニシに住み心地を聞いたら、

 

「住みやすくていいですよ」

 

と答えるに決まっているが、鮎には辛い環境だ。

 

竹ノ塚は駅前にパチンコタワーと、その裏通りに複数のサラ金が軒を連ねているあたりに街の性質が出ている。

 

ギャルの恰好をしたおばさん、吉永美代子が援助相手の男と駅前で待ち合わせをしているが、オブジェが廃品回収場のように見える。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん15巻」小学館

 

足立区はひどい言い方をすれば、東京のスモーキーマウンテンみたいなものだ。

東京23区と言っているが地図を見てわかるように実質的には埼玉で、そのどっちつかずな状態が番外地として無法地帯にした。

 

寝たまま手を伸ばせば何でも手が届く汚部屋のように、パチンコ・サラ金・ラブホがコンパクトに密集していて、堕落して生きるには最高の環境だ。

 

公衆電話で援助客を探す女性たち。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん15巻」小学館

 

これが竹ノ塚の妖精の姿。

蒲田

かつては公衆便所みたいな居酒屋・飲食店が軒を連ねていたが、駅前は徐々に整備がされてきた。

だが人間の入れ替えには数世代かかるため、まだまだ近寄る必要のないエリアだ。

 

高校卒業後にそのままスナックに勤めだした女。

関連:シンママと彼氏を恐れる娘【不幸な繁殖】

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん14巻」小学館

 

育った街にスナック・キャバクラがあると、勤める障壁はグンと低くなる。

普通の女子がファミレスからバイトを始める所を、蒲田ではホステスから始めてしまう。

 

子供は育った街によって人生が大きく変わってしまう。

キレイな街だったら人生の道でつまづいても、ホコリを払うだけで元の道に戻ることができる。

 

だが肥溜めばかりの街で転んだら、汚物まみれの人生になってしまう。

親は地価と通勤距離で住む場所を決めてしまいがちだが、子供が人間に成長できる環境を選んでほしい。

ウシジマくんの洞察力
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人を見抜く方法

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