凶悪、滑皮秀信は食べ方が汚い。
背中を丸めて犬のようにガッツガツと食べる。
それに関する説明は一切ないが、滑皮の凶悪性と食事には関連がある。
滑皮の汚い食べ方は子供の頃に原因がある
幼少期の子供が、家庭で最初の内に習うのが食事についてだ。
箸の使い方や、いじきたない食べ方にならないよう指導される。
厳しい家ではテレビを消して、食べる順番や噛む回数も指導される。
親が子供をよく観察し、大切に育てようとする姿がそこにはある。
滑皮のようにガツガツと食べるのは、こういう事を教える食卓がなかった事を意味している。
滑皮の子供時代の食事風景は漫画に出てこないが、ルミナの子供たちの食事風景を見れば、何となく想像がつく。
ただ食卓で教えられなかったというだけでなく、不規則な食事で栄養も考えられておらず、常に飢えていた事を伺わせる。
アメリカの刑務所だと、食事にプレートランチみたいなものが出される。
力の弱い者は食事を奪われる。
だから食事の時は奪われないように、素早くガツガツと食べる癖がつく。
幼少期の滑皮の家庭環境がアメリカの刑務所と同程度の、安心できない環境だったことがわかる。
食べ方が汚い人は他も欠落
食べ方が汚い人の育ちからすると、他の面でも教えられていない事が多い。
日本では箸の持ち方が汚い大人を怪訝に思う風潮があるが、全く根拠がない訳ではない。
人の外見や習慣には、その人のたどってきた歴史があらわれる。
子供の頃から、アメリカの刑務所のように安心できない環境で育った滑皮。
彼は他人を利用するだけで、損得以外の感情はない。
それがヤクザの世界では有利に働く。
ちなみに、日本の刑務所帰りだと、甘党になる者が多いらしい。
刑務所では甘いもの(甘シャリ)がめったに出ないため、渇望するようになるのだとか。
一人でホテルのルームサービスを使っても、汚い食べ方は変わらない。
食事の仕方は生きる事と直結しているため、なかなか矯正することができない。
滑皮は反社会性パーソナリティ障害か
幼児期にひどい扱いを受けて脳の偏桃体の発達が阻害されると、恐怖を感じにくくなる。
あまりにひどい家庭環境では、不安や恐怖をそのまま感じていては魂がもたないからだ。
さらに存在を否定され続ける事によって、子供は社会が敵であると認識して育つ。
犯罪に痛みを感じず、捕まる事を恐れない反社会的勢力にうってつけの人材だ。
暴走族では度胸がある人間が英雄視されるが、果たして脳の機能の欠如が度胸と言えるのだろうか?
この違いがわからず英雄についていってしまう半端者は、反社会性パーソナリティ障害の人間に奴隷化される。
滑皮は次々と自分の奴隷を増やして、社会の敵としての勢力を拡大する。
だが滑皮からすれば、社会こそが敵なのだ。
幼児期に植え付けられた社会に対する不信感は、大人になっても残り続けている。
取り込まれたらおしまい
作中でウシジマくんは滑皮に取り込まれないよう抵抗をするが、その対処法は正しい。
滑皮のような男は一度関係を結んだ相手を、簡単には手放したりしない。
捕まったら生涯、男なら隷属・女なら情婦にされておしまいになる。
近づくと危険な人物なのかは、外見や行動を観察する事で察知できる。
滑皮は食べ方が汚いだけでなく、暴走族時代から好んで危険に身を投じようとする姿があり、この連続した特徴点から反社会性パーソナリティ障害の可能性が高い。
身の回りで度胸がある人を観察してみて、それが漢なのか頭のネジが足りないのか判別して、危険を避けなければならない。
身近な危険を避ける知識
パーソナリティに関して論文的な内容ではなく、身近ですぐに使える例で説明してくれるのが本著です。
危険な人物を見抜くだけでなく、自分がどういう性質なのか知る事ができます。
人生が上手くいかない理由の多くは、自分の事がわからずに間違った進路や人付き合いをしているためです。
合わないフィールドに身を投じて、『自分は仕事ができない』と勘違いしている人は、意外と多いです。
より給料が安い仕事だと普通にできると思って、低収入・低俗な人の環境に落ちて苦しむ事になります。
苦手な事の逆方向に、自分の適性が見つかります。
人はやっぱり見た目
食べ方はキレイでも、犯罪者は居るだろう。
だが、食べ方が汚い人は他の面でも非常識な事は多い。
整理整頓はできるけど、食べ方は汚いというのはあまりない。
食事について注意を受けずに育った子は、部屋の片づけのしつも受けていない。
この方がつじつまが合う。
当然、人を傷つけてはいけませんという事も教わっていない。
少なくとも、滑皮は見事に合致している。
そういう教育が空っぽな所に、ヤクザの教育が入り込むスペースがあったのだ。
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こうして怪物、滑皮が誕生する。