愛沢という暴走族の男

闇金ウシジマくん2巻18 若い男
出典 真鍋昌平著「闇金ウシジマくん2巻」小学館

ヤンキーくん編より

暴走族のリーダー愛沢浩司。

 

職業不詳、愛していない妻子あり。

いい歳をして暴走族を続けている人間が痛々しい理由。

愛沢は人生の前半戦がピーク

愛沢にはと子供が居て、住んでいるのは郊外の狭いアパート。

こういったアパートには、十代からそのまま住んでいるような若いファミリーが多い。

 

闇金ウシジマくん2巻112

出典 真鍋昌平著「闇金ウシジマくん2巻」小学館

 

人生が足踏み状態で、住まいもマンションにステップアップできない。

愛沢はかつてはウシジマくんや滑皮と同じくらいの格だったのに、彼らと差がついてしまっている。

 

愛沢の取り巻きはもはや子供ばかりで、既に人生の前半戦でピークを終えた感がある。

彼が誰かに因縁をつけて金を要求するのは、愛沢自身がヤクザの滑皮に金を要求されているからである。

 

愛沢は強者のように見えて、実は搾取されている側なのである。

彼はなぜ、そのような立場に追い込まれたか。

 

以前に暴走族で集会を開いていたところにヤクザがやってきて、お決まりの

「うちのシマで・・」

が始まった。

 

そこで愛沢がとった選択肢が、ウシジマくん達との出世の差になった。

愛沢は先輩のヤクザ、滑皮に頼んで安易に事の解決を図ったのだ。

こういった世界では一度でも他人を頼ると序列が決まってしまい、以降は下っ端として生きなければならない。

 

それから愛沢は、事あるごとに滑皮に金を搾取されるようになってしまった。

だから金に困って後輩から金を巻き上げる。そんなこんなで人望も無くして仲間も去っていく

結果、ハッタリがきく小中学生くらいしかツルんでくれなくなる。

その人間のレベルは、付き合う人物を見ればわかるものだ。

 

愛沢にはミーハーなところもあって、突然チワワを飼ったようだ。

けど悲しいかな、その愛犬もうっかりとケリ殺してしまっている。

この事も、愛沢自身が愛情の何たるかを認識できる環境で生きてこなかったのを匂わせている。

 

底辺にいる愛沢の選択

愛沢には生きる見本・手本を示してくれる大人がいないままに、年齢だけ大人になってしまった。

彼は工業高校を中退し、塗装工も運送屋もダルくてやめて、そのツケが今になってのしかかってきたと言っている。

 

嫌な事から逃げる度に選択肢が一つ減り、底へと近づく。

中途半端な半グレたちは、いつも惰性の選択を繰り返す。

そんな彼がツケを発奮材料にして、更生していくのか?

 

闇金ウシジマくん2巻202

出典 真鍋昌平著「闇金ウシジマくん2巻」小学館

 

否。他人を襲って

 

「俺の絶望を分けてやる」

 

という選択をしたのだ。

追い詰められたヤンキーほど、心の狭いものはない。

 

結局彼は、自分で踏ん張ることができないままで、どこまでも落ちていく・・・

ダメな人は周囲の人を引きずり降ろして、相対的に自分の地位を上げようとする。

 

だが絶対的な地位が上がったわけではないので、いつまでも満たされない。

 

闇金ウシジマくん2巻185

出典 真鍋昌平著「闇金ウシジマくん2巻」小学館

情けない愛沢

10代から堕ち続けている愛沢の人生は、そろそろどん詰まりに近い。

上納金を迫る滑皮から逃げ続けている愛沢。

その滑皮から電話が着て、家に居るとウソをつく。

 

滑皮「よォ、今どこにいンだ? 愛沢ぁ!」

愛沢「家です・・・」

滑皮「あーそうかぁ。 何してンだ?」

愛沢「ト・・・トランプ・・・」

 

しょうもないウソをつく。

 

怒る滑皮

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん2巻」小学館

 

電話で質問しながらちょっと泳がせる陰湿な滑皮

相手がウソを重ねるまで待って、責める口実を作るヤクザらしさ

 

愛沢「あっ!!! うっ!!! あっ!!!」

 

足りない頭をフル回転させても、言い訳は思いつかない。

思わず電話を切ってしまう。

短気な滑皮から速攻で再度電話がかかってくる。

 

電話の着信を無視

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん2巻」小学館

「ヒャッ!!!」

 

と情けない声を出して、電話に出ない

ウソをついてその場をしのごうとして状況が悪化。

 

電話から逃げて、更に状況が悪化。

2択で常にハズレを引く男。

短い時間でこれだけ転落していくのは、才能に近い

 

この積み重ねで、愛沢の一生は底辺の位置にある。

その情けなさを晴らすために、いい歳になっても自分が威張れる暴走族の地位にすがりついている。

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