ヤンキーくん編より(2~3巻)
たまに良い事をすると目立つので、ヤンキーは実は良い人みたいな風潮がある。
だが、実際は心が狭い者の方が多い。
他人に少しでも付け入る隙きがあると、大声で責める。
どうしてそんなに、他人に対して攻撃的なのだろうか?
彼らの中では、社会の方が先に自分たちを見捨てたとなっている。
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現状に不満を持っているヤンキー
ヤンキーと言っても、中・高あたりまでのヤンキーと、それ以降のヤンキーは異なる。
中・高くらいまでなら、ヤンキーである事でヒエラルキー(階層)の上位にいられる。
だが、その後の社会では仕事によって身を立てなければならない。
自分で身を立てる努力ができなかった者は、惰性でヤンキーを続けることになる。
これが心の狭いヤンキーになる。
学生時代には虚勢によってヒエラルキーの上位にいたのに、社会に出ると一気に落ちる。
ウシジマくんに出てくる愛沢も、惰性でヤンキーを続けている。
同年代の者たちにも相手にされなくなってきて、子供を取り巻きにしたりする。
![安アパート](https://usijimakunnoningengaku.com/wp-content/uploads/2018/11/2-112-300x300.png)
真鍋昌平著「闇金ウシジマくん2巻」小学館
家は安アパートに住み、子供と口の悪い嫁がいる。
仕事は何をしても続かず、楽な方を選択し続けた結果、選択肢がない状況に追いつめられる。
他の人より上だと思いたいため、他人を攻撃するやっかいな人物になっていく。
ファミレスで、コンビニで。彼らが気安く立ち寄れる場所では、特に攻撃的になる。
店員を自分より下と思っているのが、惰性ヤンキーの頭の中だ。
お金を払っているんだから、何をしたっていいのだと勘違いする。
実際には、お金と品物の等価交換で社会は成り立っている。
お金を払うという自分の行動しか見えないから、惰性ヤンキーのままなのだ。
田舎の場合、コンビニに出入り禁止になったら5km先の店に行かなければならない。
出入り禁止になって困るのはヤンキーのほうだ。
![コンビニ前を散らかす](https://usijimakunnoningengaku.com/wp-content/uploads/2018/11/2-153-300x300.png)
真鍋昌平著「闇金ウシジマくん2巻」小学館
やたらとゴミを散らかすのも、自分たちが優位である事を感じたいから。
電車のイスに、必要以上に足を広げ、パーソナルスペース(自分の場所)をアピールする。
人が多い場所で、必要以上に大きな声を出す。
こういう行動も、自分たちが人並み以上に権利があると感じたい行為だ。
心が狭いのは嫉妬のため
惰性ヤンキーの愛沢は、盗んだ車の中から一般人をうらめしそうに眺める。
自分が仕事をすぐに辞めてしまい、普通の生活ができないから一般人に嫉妬している。
![一般人を見る](https://usijimakunnoningengaku.com/wp-content/uploads/2018/11/3-27-300x300.png)
真鍋昌平著「闇金ウシジマくん3巻」小学館
見ているだけでイライラするのだと言う。
一般人に許しを請われても、
![カンベンしねぇ](https://usijimakunnoningengaku.com/wp-content/uploads/2018/11/2-202-300x300.png)
真鍋昌平著「闇金ウシジマくん2巻」小学館
「絶対カンベンしねェ! 俺の絶望を分けてやる!!」
この心の狭さ。
愛沢の絶望とは、仕事をしない焦りをパチンコで紛らわせ、そのため借金を重ねている事だ。
更に安易にヤクザに助けを求めた事で、ローンで買った車は取り上げられて、事あるごとに金を要求されている。
![セドリック](https://usijimakunnoningengaku.com/wp-content/uploads/2018/11/2-182-300x300.png)
真鍋昌平著「闇金ウシジマくん2巻」小学館
惰性ヤンキーは、闇の住人の食い物にされている事が多い。
一般社会の片隅にいつつ、闇の世界にも少し足を踏み入れる。
そんな中途半端な存在は、実は社会的には弱者なのだ。
どちらの世界でも中途半端だからだ。
全ては愛沢自身が引き起こした事なのに、他人のせいにしている。
「世界中の苦悩を集めて、奴らに元気玉ブチ込んでやる!!!」
と本気で言っている。
自分自身で身を立てる事ができない人は、人を不幸にして相対的に自分が幸福だと思いたい。
こうなるともう、疫病神である。
実社会で関わったらいけないし、同じ土俵に立ってもダメ。
![](https://usijimakunnoningengaku.com/wp-content/uploads/2019/08/21-155-2-160x90.png)
ヤンキーは男気がある?
愛沢の男気が見せかけなのは、滑皮の電話に悲鳴を上げる事からわかる。
だが実社会では男気を装うヤンキーは、都合が悪い事を隠しているので特徴を拾って判断する。
愛沢の幼少期、自分の家が貧乏だったのが悪いと語っている。
![](https://usijimakunnoningengaku.com/wp-content/uploads/2018/11/2-183-300x300.png)
真鍋昌平著「闇金ウシジマくん2巻」小学館
この点から親も頭が悪かったから仕事が出来なかった、という仮説を立てる。
東大生は親の年収が高く、教育にかけられるコストが多いためと説明されるが、論理性の遺伝についてはタブーとされていて、メディアでは報じられない。
論理性の高い親は年収も高い傾向があり、その論理性が子に引き継がれるから成績が良いのだ。
他に彼のエピソードとして、周囲の子供からゲームボーイを横取りしていたというものがある。
盗むという規律のなさからも父性(責任感・リーダーシップ・向上心)の気質をマイナスする。
子供の内は倫理観に乏しいため奪い取る行為をするが、それが大人まで続いているとなると根深いものを感じさせる。
親の遺伝がますます疑わしくなってくる。
この父性の薄さから父親はいないか、居ても仕事をすぐに辞めていると判断する。
男気には、父性(責任感・リーダーシップ・向上心)の気質が不可欠だが、愛沢には一切見られない。
一時期荒れても更生して、仕事で頭角をあらわす者にはこの父性が備わっている。
元々、遺伝的に父性があったり、若い父親なら子供が産まれて父性の役割を与えられて変わったりする。
だが愛沢には既に子供が居て変わる要素がない。
安アパートなのにビッグスクーター・セドリックを買ってしまう浪費は、父性とは正反対の幼児性が出ている。
幼児性のある者がとる身の丈以上の行動は、いい歳をして金髪の点や、身体を鍛えていないのにタトゥーで威嚇する点にも出ている。
![](https://usijimakunnoningengaku.com/wp-content/uploads/2018/11/2-31-300x300.png)
真鍋昌平著「闇金ウシジマくん2巻」小学館
これらを総合すると愛沢は40代になっても変わらず悪さをして、一般人に迷惑をかけ続ける存在だろう。
2割くらいの更生したヤンキーだけを引き合いに、ヤンキーは実はいい子という論調があるが実際は違う。
殆どのヤンキーは大人になっても自分本位な考えは抜け切れておらず、気に入らない事があればすぐに感情をあらわにし、それが男っぽい正義だと思っている。
![](https://usijimakunnoningengaku.com/wp-content/uploads/2018/12/9-136-2-160x90.png)
エゴグラムで判断
上記で愛沢の特徴点を判別しましたが、これは下記の人の見抜き方を使っています。
関連:本性を人格判定で暴く
本来、自分でテストを受けて診断結果を出すのが心理テストの使い方ですが、これを応用して愛沢の特徴をエゴグラムに当てはめます。
例えば作中には出てきませんが、愛沢は歩行者信号を無視して渡る確率が非常に高いと思われます。
愛沢は常に直情的な行動をして、規則を破る事で得をしたと感じる人間です。
もし愛沢の父性(責任感・リーダーシップ・向上心)の気質が高かったら、人が見ていない場所でも規律を乱す事に生理的な嫌悪感を抱きます。
歩行者信号は大して問題ないですが、娘の彼氏として愛沢が来たらどう判断しますか?
何の基準もない親は、スーツを着て折り目正しく取り繕っている姿だけを見て
『ヤンチャそうなのに、実はいい青年だ』
と物わかりのいい親になったつもりで判断を誤ります。
もしも娘が大事なら、様々な特徴点から正体を見抜きます。
アパート暮らしなのにアルファードに乗って挨拶に来ていないかや、朝起きてから寝るまでの行動をそれとなく聞きます。
朝から寝るまでの話は時系列が連続した事で、咄嗟にウソをつくにしても論理性が必要なため、本当の事が聞きだしやすいからです。
それらの情報をなるべく多く拾って、人を見抜く方法に照らし合わせていきます。
この方法で本人さえ気がついていない気質を知り、行動や10年後の姿を予想する事ができます。
ヤンキーが減った情けない理由
ヤンキーには何か主張があって、荒れて自己表現していたのでしょうか?
答えはノーです。
思春期から35歳くらいまでの男がトガった行動をするのは、全て女にアピールして遺伝子を残そうとするためです。
ヤンキーはかつて、その自分本位な姿勢をたくましさと感じる女たちにウケていました。
しかし、時が経つと元ヤンキーたちが社会の中で無駄に衝突を起こすだけで、稼ぎが悪い実態が知られるようになりました。
子供に投下する資本が少ないという事は、女たちにとって好ましい事ではありません。
真面目で社会に適応できる男の方が求められるようになった結果、ヤンキーの素振りをする男たちも減りました。
このあたりの男の悲しい習性については、進化心理学で知る事ができます。
ちなみに女性が働くようになった結果、家事労働をサポートする男性が求められるようになりました。
男は常に競争に打ち勝って、女に選ばれなければならない立場です。