騙しの手口

発狂する詐欺被害者 名場面
真鍋昌平著「闇金ウシジマくん8巻」小学館

フリーターくん編より(7~9巻)

 

詐欺事件が起こる度に、被害者をバカにする風潮があります。

被害者は本当に愚かなのでしょうか?

騙しの手口は定型のフォーマットがあります。

 

普通の人が不安や不幸で判断力が弱った時に、騙しの手口にひっかかります。

身体が弱った時に風邪をひくのと同じように。。。

お金に困った状態の被害者

あまり働いていない宇津井優一を持つ母親、宇津井美津子の場合。

ウシジマくんに借金の申し込みをする時に、必要な理由を事細かに説明してしまう。

 

電話で窮状をうったえる

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん7巻」小学館

 

宇津井美津子は株の信用取引をしていた。

信用取引というのは、手元に100万円しかなくても、その数倍の額で取引ができるものです。

 

しかし、値動きの影響も数倍となり、株を保持している間に手元の100万円を超える損が発生すると、強制的に株を処分されて損が確定します。

強制的に処分されたくなければ、追加で資金を入れる必要があります。

 

宇津井美津子はこのお金が必要でした。

そんな時間的に切羽つまった内情を、よりによってウシジマくんに説明してしまいます。

超現実主義者で、むしり取る事に躊躇の無いウシジマくんは、詐欺の絵を描きます。

 

より深く詐欺をするため、宇津井家の事情を聞き出すウシジマくん。

宇津井美津子の夫は、美津子に相談もなく会社の早期退職に応じて無職になっていた。

息子は無気力で働かないから、家計の先行きが『不安』で株の投資を始めてしまった。

 

だましやすい人を見抜く方法の一つ、困った人ほどだましやすい

宇津井美津子はお金を増やすつもりで始めた株だから、絶対に負けられない。

色々と追い詰められた人は、ワラをもつかむ。

 

詐欺師たちは、飢えた魚の前に釣り糸を垂らすだけでいい。

詐欺の役者は複数

ウシジマくんの知り合いで、兜町(株の取引所がある街)界隈で金融屋をやっている樺谷(偽名は樺野)を紹介される。

 

高級時計を見せびらかす樺谷

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん8巻」小学館

 

事務所に向かう際、兜町を通って街中を案内して、それらしい雰囲気を作っていく。

これ、詐欺の導入口でよくある手口です。本格的な雰囲気を醸し出していく。

樺谷は兜町の証券マン相手に金融業をやっているから、アナリストも知り得ない情報を得られるという。

 

高級そうな腕時計をチラチラと見せつける。

これも詐欺師の手口。

いかにも金持ちを装う事で、被害者に金持ちに成れる希望を抱かせる。

 

弱っている被害者にとっては、抜群の効果。

上がる株の銘柄を直接教えるのはヤバいなどと言って、会社名が乗った誌面を樺谷がペンで差し、宇津井美津子がそれを覗き見るという構図。

 

宇津井美津子が樺谷たちに

「絶対、騰(あ)がるんですね!?」

と聞いてきたら、最後の殺し文句を言う。

 

はぐらかす

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん8巻」小学館

「判断は宇津井さんご自身でしてください。」

これで逃げを打っている。

 

株の銘柄を明確に教えているわけでもなく、質問もはぐらかしている。

それでも、ここまで演出されたら切羽詰まった人間は乗っかってしまう。

 

そんなやり取りの間にも樺谷のケータイに、株で儲かったお礼のニセ電話が入ったりと、演出が施される。

株を購入する証券会社として、樺谷に木都根(きつね)を紹介される。

 

樺谷の友人だから、宇津井の事も親身に相談にのってくれるのだと。

これが木都根。

 

うさんくさい男

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん8巻」小学館

 

一応は証券会社に勤めているが、樺谷たちと組んで詐欺の片棒を担いだりもする。

腰が低そうに挨拶をするが、この時に木都根は宇津井美津子の身なりをチェックする。

安っぽい服に靴だなと。

 

ウシジマくんがリアルなのは、こういう人物のリアルさ。

木都根は小太りだけど、全然おおらかそうじゃない目つき。

それに口元がカバっぽくて、イヤラシイ。

 

髪型も短髪で清潔感を出そうとしているが、ゲスな本性がにじみ出ている。

宇津井美津子に上がる事を示唆した会社について、樺谷が知っているのは下がる情報だ。

社長が薬物に手を出していて、週刊誌に出される事を知っているのだ。

 

その情報を最大限に活かすために、複数で詐欺のチームを組んでパス回しをしている。

ウシジマくんと樺谷が金を貸し、株価が下がる度に宇津井に追加で貸す。

 

木都根は宇津井に依頼されて株を買ったふうに見せて、実際は買わないで代金を受け取る。

途中で宇津井が株を現金化しようとする度に、不安を煽って先延ばしにさせる。

さぁ、週刊誌が出て株価が暴落したら、詐欺も完成。

 

選んだのは自分でしょと言う

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん8巻」小学館

 

被害者はこの時点がスタートだと思っているが、残念ながら終わっている。

どうしようもならない状況になってから対処しようとするが、詐欺のワナは終わっている。

 

資本主義は奪い合いだから、誰かが親身になって自分のお金の事を考えてくれるわけはない。

親身になって相談に乗ってくれる人がいたら、それは詐欺師。

マルチに何度も騙される竹山さん
フリーエージェントくん編より(30~32巻) 本人曰く、リーマンショックでリストラされて以来、安定した職に就けていないという竹山さん。 バイトで貯めたなけなしのお金を、一発逆転を狙ってマルチ商法なんかにかけてしまう。 ...