投資に向かない人の特徴

おばさん
真鍋昌平著「闇金ウシジマくん7巻」小学館

フリーターくん編より(7~9巻)

 

専業主婦の宇津井美津子。

チラシの利息を信用して、闇金に借金の申し込みをしている。

 

貧乏な人がお金を持っていないのは、欲がないからではない。

人一倍欲深いから、お金が怖がって寄り付かないのだ。

銀行に紹介された証券会社で信用取引

ネットで見つけた金融会社に電話をする、宇津井美津子。

そしてその会社のウシジマくんに、借金の理由を根掘り葉掘り聞かれる。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん7巻」小学館

 

宇津井美津子の借金の理由からして、投資に向いていない事がわかる。

なんでも住宅ローンを借りている銀行の担当者から、

 

内緒で紹介してもらった』

 

という銀行系列の証券会社に勧められた信用取引で、追加保証金が発生したというのだ。

美津子は『内緒で』という特別感だけで、儲かる気分になってしまった。

 

仲間内で利益を転がし合っているような営業マンが、どうして美津子のようなくたびれたおばさんを特別待遇すると思うのだろうか?

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん7巻」小学館

 

こんな想像さえできないから、株が急落し追加保証金が発生してしまうのだ。

追加保証金とは、取引の維持に必要な種銭が追加で必要になる事だ。

 

追加保証金を入れないと、損失が確定してしまう。

そもそも、銀行・証券会社を信用するのが間違いである。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん7巻」小学館

 

彼らは顧客の利益のためではなく、手数料収入の事しか考えていない。

実際に、銀行の投資信託に出資をした人の5割弱は損をしている。

 

チンパンジーに金融商品が上がる・下がるを、適当に選択させた方が勝率が高いという実験もある。

追加保証のお金が必要になって、適当に調べた業者に電話をかけるが、それは普通の消費者金融ではなくて闇金だったのだ。

 

こういう人たちは、つまづいた時に慌てて不用意な行動をとって二次被害を拡大させる。

 

倒れまいと掴んで折った枝が100万円の盆栽だったというように、1つキッカケがあると2つ3つと雪だるま式に損失を膨らませる性質がある。

 

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よくわからないけど120万円が必要

闇金のウシジマくんに、借金の理由を説明する宇津井美津子。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん7巻」小学館

 

よくわからないのですが、委託保証金率を保つには120万円を証券会社に入れないと…」

 

と説明する。

彼女はよくわからないのに、120万円を追加で振り込むのだと言う。

 

この人たちはいつも、何も勉強しようとしない。

今ある知識だけで、何でも解釈しようとする。

 

投資に関しても定期預金と同じ感覚で、単にお金を預ければ儲かると思っている。

株式投資は様々なデータを頭に入れて、何重にもパターンを予測して取引を行う。

 

その知恵と労力に対する報酬として、利益がもたらされる。

予測をするには、未来の時間軸を持っていなければならない。

 

だが美津子のような人たちは、今現在の時間軸しか持っていない。

未来の話というのは、点の情報を繋いだ延長線上にあるので、論理性がないと考える事ができない。

 

論理性がない人の頭の中では、未来は偶然起こる予測不能なアクシデントという認識だ。

だから予測行動を一切しないので、彼らの行動は短絡的に見える。

 

そして本人は論理よりも感情が優位だから、感情を込めていえば他人が動いてくれると思っている。

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん7巻」小学館

 

「400万円をうしなうわけにはいきません。絶対に!!」

 

こういう人たちから金を吸い上げるウシジマくんは、未来の時間軸を持っている。

宇津井美津子と電話で話しながら、明日の追加証拠金の振り込みの期限を計算している。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん7巻」小学館

 

(つまり、この女は、明日の昼12時までに追証の120万円が必要なんだな!?)

 

この期限ギリギリにアポを設定すれば、切羽詰まった美津子に不利な条件を飲ませられる。

もしも期限までに120万円を振り込んで追加証拠金を補充しないと、400万円の損失が確定する。

 

補充をしても株価がもっと下がったら、更に証拠金が必要になる。

この信用取引の泥沼にハマりやすい構図が、損失をさらに拡大させる。

 

頭で稼ぐ分野では、チェスや将棋のように実力差が如実にあらわれる。

負ける側は10回やっても負けるようになっている。

 

美津子はせめて危機管理が出来ていれば助かるのに、彼らは何の根拠もなく投資で儲かるという自信がある。

論理性がない人は根拠と結果を結び付けず、点の情報だけでしか認識しない。詳しく:人を見抜く方法『人格は人生の足跡にあらわれる』

 

投資の失敗は自分のせいじゃない

借金の電話をしただけで、問題解決した気になっている美津子。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん7巻」小学館

 

「だいぶ借金しちゃった…

でも、大丈夫……

証券会社の人が値が戻るって言ってたんだ…」

 

大丈夫だと思う根拠が、証券会社の人が値が戻ると言っているから。

いつも自分で考えずに、他人に考えを丸投げするから損をする。

 

ウシジマくんに指定された時間(追証の期限ギリ)に事務所に行くが、その時点で美津子は既に詰んでいる。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん7巻」小学館

 

「あの・・・時間もないンで、20万円のご融資お願いします。」

 

わざと時間がない状況を作っていたウシジマくんは、ここに来て金利をふっかけた。

そしてさらに煽る。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん7巻」小学館

 

『どうせダンナに内緒で株買ったンだろ?

バレてもいいわけ?

ほら…… どんどん時間がなくなるぜ……』

 

 

美津子みたいな人はいつも、追いつめられると感情を爆発させて状況を打破しようとする。

煽られた美津子は叫ぶ。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん7巻」小学館

 

「私のせいじゃない!!

主人が無計画で、息子が無気力だからいけないのよ!!」

 

狭い部屋に閉じ込められた小動物が暴れて活路を見出そうとするように、とりあえず激する事で状況を変えようとする。

 

ひとしきり騒いだ後に、ウシジマくんが優しく肩に手を置き

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん7巻」小学館

 

「大丈夫だ奥さん。

ウチが付いてる、安心しろ。」

 

そして10日で5割という法外な金利をのまされる。

ウシジマくんには人間の知恵があるから、動物レベルの美津子の動きを予想して、自分にすがりつく流れを作ったのだ。

 

投資の被害を拡大させていく

借金をして追証を振り込んだのに、株価が更に下がって再度の追加が必要になる。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん7巻」小学館

 

「冗談でしょ?

また追証130万円差し入れろって何よ!?」

 

最初に追証が必要となった時に、何も勉強していないから同じ失敗を繰り返す。

頭が悪い人というのは不勉強でもあるので、いつまでも知識が増えない。

 

再度の追証が発生すると、すぐにまたウシジマくんにすがりついて、自分が抱えている問題を丸投げしようとする。

 

自分の手持ちの財産の情報を、ウシジマくんに事細かく伝えてしまう。

その財産を巻き上げるつもりのウシジマくんに

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん7巻」小学館

 

「宇津井さんはお得意さんだから、特別に教えちゃうけど」

 

と言われて、株のプロと称する男を紹介される。

 

美津子は住宅ローンを借りてる銀行の営業担当に

“内緒で”

 

と証券会社を紹介された時と同じく、自分が特別だからウシジマくんに株のプロを紹介してもらえると思っている。

 

美津子みたいな人は、自分視点が強すぎて客観視できないから、常に自分は特別だと思っている。

何度も騙される人の特徴は、自己中心的で学習習慣がないことだ。

 

だから一度サギにかかるとリスト化されて、何度もアタックされる。

ウシジマくんに連れられて、株のプロという樺野(かばの 本名 樺谷)の事務所に行く。

 

ここでも美津子は

『ココだけの話』

『絶対に儲かる方法』

 

という言葉に反応してしまう。

美津子みたいな人でも、自分では

 

「わたしだってバカじゃない」

 

と思っていたりする。

だが、樺野の話を信じる根拠は

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん8巻」小学館

 

樺野が高そうな時計をしているからという理由だ。

騙されやすい人の目線を知っているので、ペテン師は高そうなスーツや時計を小道具として使う。

 

適当に株の用語をちりばめて説明する樺野だが、それはただの演出に過ぎない。

美津子のような人に専門用語を並べても、理解できないし響かない。

 

だから要所で

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん8巻」小学館

 

「猛烈に騰る!!(あがる)」

 

と、欲望に訴える言葉をおりまぜる。

ビクン と反応する美津子。

 

難しい言葉の合間に入る、感情がたかぶる言葉の効果は大きい。

マルチのセミナーと同じ手法だ。

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美津子はすっかり自分が儲けられる気になって、樺野の儲け話しにすがりつく。

銘柄を直接、口に出して教える事ができないからと、銘柄表をペンでつつく樺野。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん8巻」小学館

 

「田嶋(ウシジマくんの偽名)社長のお客さんだから特別ですよォ。」

 

またしても特別という言葉だけで信じる美津子。

サギに騙される人は無意識の内に、自分には美味しい話が持ち込まれて当然だという傲慢さがある。

 

その欲深さでペテンの儲け話を積極的に信じる。

演出のダメ押しをするように、樺野のケータイが鳴るようにして、目の前で会話をする。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん8巻」小学館

 

「はい、樺野です。

え!? そうですか!?

それはよかった!!

ウチが融資したお金が5倍ですか!?」

 

その電話をドキドキしながら聞く美津子。

サギ師は騙される人が、他人の儲け話に煽られやすい事を知っている。

 

他人が儲かって自分が儲からないのは我慢がならず、競うようにサギ話に飛びつく習性がある。

樺野は電話を切ると独り言のように

 

「お礼の電話なンてイイのになァ……」

 

と言って茶番を締めくくる。

そして美津子は信用取引のサギ話に乗ってしまう。

 

美津子の努力はと言うと

 

「絶対、騰るンですね!?」

 

とペテン師に念押しするだけだ。

だがペテン師は、後々の事を考えて決定的なことは言わない。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん8巻」小学館

 

『判断は、宇津井さんご自身でしてください。』

 

「………わかりました。お願いします!」

 

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スーパーの買い物と投資が同じ感覚

樺野の勧めた株の株価が上がっているのを見て、スーパーの買い物からご機嫌で帰る美津子。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん8巻」小学館

 

スーパーでは2000円を出せば、それに応じた商品が受け取れる。

サギに騙されるのは専業主婦や老人など、一方的に消費する立場の者が多い。

 

客はお金を出せば何の疑いもなく品質が保証された商品を受け取れるし、クレームだって言える強い立場だ。

その習慣から、投資はお金を出すと増えて戻ってくるものとしか思っていない。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん8巻」小学館

 

どれくらい労働をしたら、いくらの対価がもらえるのかという感覚が鈍い。

 

この感覚の違いがサギ事件の際に、現役世代が騙された人たちに対して

「そんな話あるわけないのに」

と驚く理由だ。

 

ペテン師たちは、分不相応な欲望を抱く人のニオイにひきつけられてやってくる。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん8巻」小学館

 

せめて家族が防波堤になればと思うが、ダメな遺伝子でつながった家系は一族郎党ダメだったりする。

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マルチに騙される人たち

フリーエージェントくん編より

投資という名でマルチ商法をしている男の恰好。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん30巻」小学館

 

関連:うさん臭いマルチ商法のセミナー

 

スリーピースのジャケットを脱いで、ベスト姿でセミナーをやっている。

腕まくりをして高そうな時計を見せつけ、ベストで貴族感を演出している。

 

欲深い人を騙すのに理屈はいらない。

キラキラを見せるだけで、光るルアーに飛びつく魚のように釣れる。

 

そのペテンに騙される、アルバイターのおじさん。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん30巻」小学館

 

関連:マルチに何度も騙される竹山さん

 

村上(マルチの一員)さんだから隠さず話します」

 

と言って、聞かれてもいない自分の失敗を語るおじさん。

考えるのが面倒くさい人は、すぐに自分の問題解決を他人に丸投げする。

 

「対面して販売する方は初めてだから、村上さんを本気で信じますよぉ~~」

 

信じる根拠が、対面で目の前にいるからだという理由。

サギ事件の被害者たちは自分たちの事を

 

「人を信じやすい」

 

と美化する。

 

だが彼らがすぐに信用するのは、煩わしい考え事を代わりにさせる人を求めているからだ。

自分の負担を他人に被せようとして、逆にその怠惰をペテン師に利用される。

 

投資に対する努力

竹山さんは投資に対してどんな努力をしているのだろうか?

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん31巻」小学館

 

100万円を支払って、作ってもらったのがこのページである。

衣装からページ作成から、全て他人任せ。

そして出来上がったページを布団に寝ころびながら見るだけ。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん31巻」小学館

 

このページで儲からないと、すぐに村上(マルチの一員)に相談というか丸投げをする。

 

「村上先生。

母親から借金して作ったホームページ、全然儲からないです。

どうしたらいいでしょう?」

 

その度に、村上に新たな商材を売りつけられる竹山さん。

こうして被害は膨らんでいく。

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連鎖して騙される理由

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん31巻」小学館

 

一人が騙されると、その周辺で連鎖して騙される。

彼らが詐欺話を信じる根拠は、

 

『知り合いが儲かった』

 

という事だ。

数回の配当金を受けただけの知り合いに、マルチを紹介されて信じてしまう。

 

その知り合いが出資した元本に満たない配当金しか受け取っていなくても、配当が入ったという一コマしか目に入らない。

 

何よりも知り合いが儲かって自分が儲かっていない事で、競争心を煽られて急いで話に乗る。

知り合いというのは知的レベルが同程度のものが寄り集まるものなので、一人騙されたらその周辺の人間が、ゲームのぷよぷよみたいに連鎖して騙される。

 

ペテン師は何連コンボも続いて、笑いが止まらなくなる。

 

都合のいい考えをする

派手な成人式の北九州のレンタル衣装店で、踏み倒しが多発した。

しまいには購入した衣装代さえ踏み倒して逃げ、総額で1000万円にものぼった。

 

これが底辺のキャッシュレス社会で、お金というものが本当に存在していない。

彼らが払わなかった根拠は

 

「先輩たちも払ってないけど『別に問題ない』と言っていた」

 

というものだった。

自分に都合のいい事を信じる性質は、投資詐欺の被害者に似ている。

 

騙す人・騙される人の性質は、一般人から見ると同じベクトルにいる。

どちらも『楽して稼ぎたい』という行動原理だ。

 

そんな事を言ったら騙された人が傷つくのではないか? と心配する必要はない。

彼らは新しい知識を取り入れないし活字も好まないので、このページを読むことはないからだ。

賢くない人がワリと幸せに生きられる理由
ゲイくん編より(3~4巻) 人に知性が芽生えてから、起こってもいない問題を想定してストレスを抱えるようになった。 賢い人ほど就職や老後の不安など、悩み多い人生を歩む。 36歳のおじさんゲイの『ジャニヲタ』は...