フリーエージェントくん編より(30~32巻)
マルチ商法のセミナーはうさん臭い。
なのになぜ人は騙されてしまうのか?
その子供だましの手口とは
マルチ商法に集まる人は、その時点でお金に困っているか金銭欲が暴走した人で、通常より判断力が落ちている。
経済的な不安にかられている人は、ワラにもすがりつく下地ができている。
そんなうまい儲け話ないだろうと思いつつも、期待をしていなければ参加はしていない。
参加した時点で、セミナー主催者に下心を読まれている。
参加者を騙すために、マルチ商法のセミナーでは子供だましの手口が使われる。
主催者がボトルを手に持って、参加者に形を問う。
「筒状に決まってるだろ!?」
相手が筒状と答えると、主催者は底を見せて
「違う。丸です」とやる。
こんな子供だましの手口でも、参加者たちはハッとして何かに気付かされたような気になる。
開眼したというか、一つ賢くなったかのように感じるのだ。
地道な努力を嫌ってワープしようとしたり、一発逆転を狙ってマルチに参加するような人は、一言聞いただけで賢くなった気になる。
そこで主催者は間髪入れずに、『お金儲けなど、このように捉え方を変えるだけ』と刷り込む。
それで騙されてしまう状態の人が、セミナーには集まっている。
他にも、人は口が一つなのに耳が二つなのはなぜか?
しゃべるより、人の話を2倍聞くため。
だから疑問を持たずに、講師の言う事を聞きなさいという事なのだ。
本来は耳が二つ付いているのは周囲360度の音を拾うためですが、参加者は論理的に物事を考えられない。
セミナーの主催者は、ハッとさせる小ネタ集でも持っているのでしょう。
参加者にはお金に困ってセミナーに参加するまでの人生で、論理性がない故のエピソードが沢山あるはずだ。
普通の人であっても、何か不幸が重なると判断力が利かなくなる。
そこにマルチ商法が入り込む余地がある。
ネットワークビジネス
スーパータクシーくん編より(14巻)
マルチ商法より少しだけ商品に説得力があると、ネットワークビジネスと呼ばれるようになる。
だが基本構造はマルチと同じで、商品は浄水器や鍋類などの原価がよくわからない物が使われる。
たまにトレンドを取り込んで、例えば乗馬マシーンなども扱われる。
これらの商品はメンバーが買い取って、在庫として自分の家に保管をするので、ネットワークビジネスの本部は倉庫代がかからない。
その代わりにメンバー宅には変な商品がうず高く積まれるので、ネットワークビジネスの信者の家はすぐにわかる。
他の仕組みも優れていて、本部が末端の人員を管理する必要はなく、メンバー同士が勝手に販売会議をしてくれる。
会議の場所はメンバーの家が使われるので、メンバーが増えても本部の負担にならない。
騙されるのはパート労働より楽して稼ぎたいという主婦が多く、彼らはマルチを仕事という感覚でやっている。
ネットワークビジネスの仕組みを考えた人間は、メンバーになるのは能力が低くて、誰にも認めてもらえないコンプレックスを抱えた人々だと知っている。
だから適当に役職(ランク)を与えれば、メンバーは夢中になって活動する。
「井上さん
ダイヤモンドエンペラーに昇格おめでとう!!」
『はい!!諸星支部長♡』
ネットワークビジネスには、細々としたランクがいっぱいある。
メンバーは儲かってるのか儲かっていないのかよくわからなくても、ランクアップさえしてもらえれば、自分の能力が上がった気になる。
ランクアップの条件は、少し背伸びをすれば達成できるような絶妙な設定がされている。
小さな目標をクリアさせ、賞賛することでメンバーのモチベーションは上がる。
これは普通の会社運営で、社員のマネージメントに使用されるテクニックだ。
本部はメンバーに対して名ばかりのランクや、紙っぺらの賞状を渡すだけで経済的なリスクなく運営できる。
マルチやネットワークビジネスは心理学の知識が悪用されていて、人間をはめ込む仕掛けがアチコチにある。
マルチに参加する人は他のメンバーに賞賛され、仕事っぽいことで初めて承認欲求が満たされる経験をする。
自分は社会人として無価値じゃないのだと救われた気持ちになり、信者化していく。
本人がマルチを信じたい気持ちが強いので、新興宗教の信者と同じく周囲の説得が耳に入らない。