生きるのが辛いブスのみほ

ブスな顔 若い女
真鍋昌平著「闇金ウシジマくん12巻」小学館

サラリーマンくん編より(10~12巻)

 

インドのナンに毛を被せたような顔をしている女性みほ。

 

出会いカフェでも男に選ばれる事なく、劣等感を募らせている。

そんな彼女の難易度が高めな人生。

ブスが責められるのは理不尽

ブスの数だけブサイク男もいる。

しかし、男の場合は体力や収入と言った免罪符が用意されているのに対し、女性は容姿ばかりで判断される。

 

就職にしても受付嬢や秘書だけでなく、一般職種でも美人が有利だ。

顔採用は公然と求人資格に載っていない分、知らずに受験して落とされる女性が増えて、無駄に傷つけられる。

 

もっと厳しい現実として、冷徹な調査結果がある。

美人と不美人の収入格差を調査した結果、金額にして3,000万円超の差が生まれるのだという。

 

実際、みほが出会いカフェに稼ぎに来たのは、パチンコ屋の仕事で腰を痛めてから無職のためだった。

 

志望している事務や工場の職には、派遣でも就くことができない。

彼女の髪は文房具のハサミでセルフカットしているかのようなザク切り感で、容姿を全然フォローしていない。

 

作業着みたいな服

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん12巻」小学館

 

せめて髪型くらいはどうにかすれば良いのに、海に流れ着いたワカメをそのまま頭に乗っけてるみたいだ。

服もなんだかそっけなく、土方の作業着みたいだ。

 

子供の頃から毎日のように鏡を見ていると、見慣れているため自分の顔がブスだとは思いにくい。

それが成長してくにつれて周囲の態度が美人と違うことを感じて、自分がブスなのだということを突きつけられる。

 

他人に対して攻撃的でない女性でも、容姿が悪いだけで蔑みや悪意をぶつけられる。

これほど理不尽な事はない。

 

道を歩いていてブスと言う男は、通り魔と変わらない。

こうしてどんどん、心を削られていく。

 

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中身もネガティブ

悪友の板橋に連れられて出会いカフェに来るようになったサラリーマンの小堀は優しい男だ。

誰でもいいから話したかったので、みほをトークルームに呼んだ。

 

みほのプロフィールは、

趣味:カラオケ
性格:ふつー

 

プロフィールにさえ行動的な要素はなく、無気力だ。

彼女はカラオケで何を歌うのだろうか? 誰も知りたくはない。

 

みほはいきなり、自分のネガティブ情報を語る。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん12巻」小学館

 

「人から言わせると天然。つーか、いじられキャラなんですよォ。」

 

天然でいじられキャラという事は、頭が悪くてバカにされているという事だ。

それに全然、可愛いらしい言葉遣いもできない。

 

「たまたま仕事探しててぇ~~ えーえー。」

 

ちゃんと話してほしい。

それに彼女が仕事を探していたのはたまたまではない。

 

「これといった資格もないしィ… 水商売とか抵抗あるンでェ……

パチンコ屋とかしかなくって……正社員になりたいですぅ」

 

容姿の不利としゃべり方の印象。それに中身の無さから採用されないのは必然である。

この無気力がブスの虚しさゆえなら、不公平な世の中に責任がある。

 

恐らくみほの履歴書は、自信のない職歴でさまよっている事が伺えるだろう。

社会人の人格は、履歴書にあらわれる。詳しく:第四章 経歴によって人を見抜く(経歴は流れで見る)

 

全てのパラメーターが低い

みほは一般社会にいる時と同じように、出会いカフェでさえ誰からも声がかからない。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん12巻」小学館

 

算数も体育もできない、おまけに容姿も恵まれていないという、全てのパラメーターが低い人間はいる。

それでも彼らが存在する理由は、生物に多様性が必要だからだ。

勉強も運動も得意ではない彼らは、ひたすら消極的に生きる。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん12巻」小学館

 

その姿は木にぶら下がってほとんど動かない、ナマケモノという動物のようなローカロリーな生き方だ。

恐らくみほの親も似たようなもので、消極的ながらも何となく結婚したのだろう。

 

そしてあまり物事を考えられない彼らは結婚したら子供を作るものだろうと、他の家庭の模倣でみほを作った。

だから皆が目立たないようにやる歯の矯正については、目に映らないから知らないので、みほの歯はガタガタのまま放置された。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん12巻」小学館

 

おまけに爪の先もガタガタしている。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん12巻」小学館

 

爪は栄養状態が反映されやすい部分で、綺麗であるほど母体に適しているとされるので、男は潜在的に爪の美しさを見る。

爪も髪も汚いみほは、どこを見ても男に愛されない要素が揃っている。

 

それに名前に『美』という文字を使った事も、本人にとってプラスに作用しない。

彼女の容姿と『美』という字が並んでいると、見た人に一つ違和感というか不信感を芽生えさせる。

まずい中華料理屋が店名を『中華一番』と名乗っているみたいなものだ。

 

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貧乏神っぽい雰囲気

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん12巻」小学館

 

みほはネガティブな話しかしない。

サラリーマンで、ストレスを抱えた小堀には辛い。

みほは29歳だが、彼氏の話は23歳の頃のものだ。

 

そこまで遡らないと恋愛エピソードがない。

 

「男性不信な面がありまして……

23の時、つき合った彼がすごく嘘つきだったんですぅ……」

 

本当に彼氏だったのだろうかと疑問が生じる。

23歳の女という肩書だけで、予備としてキープされていたのではないか?

だから他の本命が優先されていたので、みほには嘘をついていたのではなかろうか。

 

みほはいきなり仕事がないとか男性不信の話をして、小堀の精神力を削っていく。

ネガティブのおすそ分け。

 

小堀は優しいから

 

「きっと、ここに来たら、もっと男性不信になりますよ。みんな嘘つきだし・・・」

 

と言う。

それに対しみほは

 

「気をつけますぅ・・・ でも、火遊びしなければ・・・ふっふっふっ」

 

と、いきなり不気味なことを言った後で売りの話をしてホテルに誘う。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん12巻」小学館

 

「あの……

ホテル行きませんか?

1万5千円でいいんで……」

 

鬼気迫る表情で

 

鬼気迫る表情

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん12巻」小学館

 

「ダメですか? 私じゃダメですか?」

 

と畳みかける。

関わったら不幸が感染しそうな話をしていたのに、一気に距離を詰めてくるのが怖い。

小堀は謝って断る。

 

謝る小堀

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん12巻」小学館

 

みほは美人と同じような言葉を言ってはダメだ。

美人が言う火遊びと、みほが言う火遊びは意味が違う。

 

みほの場合は恨みから本当に放火しそうな意味に聞こえる。

彼女は美人・ブスというだけでなく、不気味という要素をのっけてしまっている。

 

関連:出会いカフェに通う気持ち悪いおじさん

 

美人と同じ土俵で戦わない

選ばれない女

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん12巻」小学館

 

彼氏がいないからと言って、合コンに行ってはいけない。

美人と真っ向勝負になるような状況は避けなければいけない。

 

大げさに言えば、合コンではなく滝行に行くくらいの飛躍が必要だ。

 

なまじ合コンに参加して、美人との差をつけられて負のオーラをまとうくらいなら、滝行で解脱をする方が良い。

適当な男と付き合って男性不信になるくらいなら、誇り高い孤独を選ぶべきだ。

 

仕事に打ち込み、ネガティブを帯びなければ、いつか小堀のように優しい男を手に入れられるかもしれない。

わざわざ自分に不利なフィールドで闘って、傷つく必要はないのだ。

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