楽園くん編より(16~17巻)
モデルと読者モデルは大きく違う。
本来、読者モデルは職業ではなく、思い出作りのイベントだ。
自分から雑誌に応募をして、自腹の数万円の服を着こみ写真をとってもらい、数千円のギャラをもらって帰る。
人に見てもらい、褒めてもらって自分に価値があると思いたいからやっている。
パピコもそんな読モの典型。
稼げない + そこに集まる若い女性 という構図には、悪い予感しかしない。
読者モデルは仕事じゃなくて趣味。
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パヒコの価値基準
アイスのパピコをよく咥えているから、読モのパピコと呼ばれている。
ネーミングにもでる、このPOPな適当さが渋谷とは違う原宿。
若くてかわいいパピコは、性格も天真爛漫で男を魅了し、振り回す。

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん16巻」小学館
センターT(中田)もそんな男の一人だが、全く相手にしてもらえない。
可愛くて頭が空っぽそうな女の子は、隙があって落とせそうなので、男が寄り付く。
だが、パピコには男を選ぶ基準があって、それ以外の男はオブジェと同じだ。
G10がDJをするパーティーに参加するハピコ。

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん16巻」小学館
こういう集まりの常連で、顔見知りのオサレ(オシャレ)皇帝の一人に声を掛けられてVIPルームに消えて行く。
必死でアピールする中田の事は、一度会っても覚えていない。
しかし、中田が雑誌にスナップ撮影されるようになると、パピコの方から声をかけた。

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん16巻」小学館
天真爛漫で落とすのが難しいように見えて、ハピコの判断基準は単純だ。
雑誌に撮影される = パピコにとって価値がある人なのだ。
パピコ自身が空っぽで、読モとして扱われる事で承認欲求(受け入れられる気分)が満たされる。
だから男を見る判断基準も、雑誌に載るオシャレな外見という中身のなさ。
どうしてそうなってしまうのかは、親に原因がある。
親はパピコのやる事の全てに、「もっとデキるでしょ」というスタンスで接していた。
放置子やクズ親と違って、子供の才能をもっと引き伸ばしたいと思う気持ちからだった。
しかし、それがパピコの自信を奪い、満たされない空っぽな人間にしてしまった。
厳格な親の元で、子供がおかしくなってしまうパターンだ。
誰かに承認してもらいたい時に、街で声をかけられて雑誌にスナップされた。
そこで初めて承認欲求が満たされて、パピコの価値基準として強烈に刷り込まれた。
そこから、自分の価値も他人の価値も、読者モデルが基準になった。
壊れているパピコ
いいコに見えて、読モ中心の生活で承認欲求を満たす心はどこか壊れている。

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん17巻」小学館
パーティーでは、ヤリ×ンパピコと呼ばれている。
中身が空っぽのパピコは、有名でカッコイイ男にすぐになびいてしまう。
だから他の読モの女たちに嫌われていて、男には軽い女と思われている。
パーティー会場の片隅で、彼氏がパピコと浮気した事を泣いている女。

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん17巻」小学館
わざわざ人前で泣いて、注目を集めたい気持ちが見え隠れしている。
これもまた、読モの腐った価値観。
こんなスタンドプレーばかりなので、人間的に中身がなくて男に飽きられるのも早い。
こういう生活をして時間をムダに過ごし、モデル崩れになっていく。

カワイイ女には、小鬼みたいな女がセットでいる

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん16巻」小学館
パピコがバイトをする、おしゃれカフェ。
適度な手作り感が貧乏くさいのではなく、オシャレなのだ。
カワイイ女の周りには、何故か必ず小鬼(ブス)みたいな女の子が隣にいる。

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん16巻」小学館
そして、カワイイ女によってくる男を、カワイイ女本人よりもコキおろす。
店のバックヤードで中田について
「パピコちゃんに気があるのミエミエでウザイね」
と言っている。
パピコと一緒にいる時、いつも男どもに(ブス邪魔だな・・・)という扱いを受けているので、こういう時に復讐している。
ウザイとか心無い言葉が出るのは、自分がそういう扱いを受けていると感じているため。
合コンなどでも、カワイイ女に成り代わって男たちを振り払う。
彼女も男を袖にしたいのだが、自分には来ないので割って入って、自分に来た男を振り払ってるつもりのバーチャル体験をしているのだ。
引き立て役になっちゃうから、一緒にいなければいいのにと思いがちだが違う。
大きな魚の食べこぼしを狙う小魚のように、カワイイコと一緒に居ると、条件のいい男が寄ってくる。
だがチャンスが近くをかすめていくだけで、報われることが無い。
カワイイ女との決定的な違いを思い知らされた頃に、傷ついて去っていく。


読モは貧しい
読モのギャラは安い。
だが、いつ撮影が入るかわからないので仕事はアルバイトになる。
いつでも休めるようなアルバイトでは、大した給料にならない。
それに、雑誌にスナップ撮影されるためには、自腹でオシャレをしなければならない。

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん16巻」小学館
パピコが住んでいるのは、若い女に似合わない、ツタがはっている木造モルタルのアパート。
まだスレていないので、中田との安い公園デートで、ドラゴンボールクイズをしても楽しんでくれる。

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん16巻」小学館
若くて可愛いい女の子たちを集めるのに都合がいいのが読者モデル制度。
お金なんて稼げない。
お金に困っていく女の子たちがどういう行動をとるのか、大人は経験上でわかっている。
キャバクラよりも安く、簡単に女遊びができてしまう。
学生時代にモテなかったおじさんが、ヒョンな事から金持ちになると、過去に手に入れられなかったものを手に入れたがる。

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん17巻」小学館
その遊び方は下品この上ない。
こういう男はお金を手にして変わったんじゃなくて、金があるから元々の素を隠す必要がなくなっただけ。
本性は下劣だから、若い頃からモテなくて当たり前。
品格がないのにお金を手にした人は、下品に金をばらまく。

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん17巻」小学館
ジッとお金を見るパピコ。
撮影のための服が買える・・・ バイトしなくていい・・・
無言でお金を見つめる。
貧しい毎日は毒気となり、確実に心をむしばんでいく。
毒モに取り込まれる若い女は、今日もどこかで生まれている。
