サラリーマンくん編より(10~12巻)
若い派遣社員「すみません、この伝票どうやって入力するンでしたっけ?」
正社員のおばさん「前に一度教えたでしょ?派遣の人と違って私、忙しいンだからーー!! もう知らないわよ!!」
社員と派遣は派閥が違う。
派閥同士は、常に小さな衝突を繰り返す必要がある。
![]() |
![]() |
職場の女は対立する
サラリーマンの小堀の友人、町田は生命保険会社の課長だ。
かなり疲れている。
町田が30人の女をまとめる立場であるのを知ると、小堀が励ます意味も込めて
「へー 女に囲まれて楽しそーじゃん。」
と言うと、町田の態度が変わった。
![女なんてみたくもねーよ](https://usijimakunnoningengaku.com/wp-content/uploads/2019/03/10-23-300x300.png)
真鍋昌平著「闇金ウシジマくん10巻」小学館
「女なんて見たくもねーよ!」
町田の感情があふれ出す。
「正社員と派遣がそれぞれ派閥作ってよォ。
俺に好き勝手なコトばっか言ってくンだよ!!」
職場の女は派閥を作る。
こういう話題が出ると一般的に
『男だって派閥をつくる! キィィィーッ』
という金切り意見が出て、考察は深まらない。
男も派閥を作る時があるが、目的は明確だ。
会社の利益に対して自分のやり方が正しいと思う時、その方向性に持っていくために派閥を作る。
男の集団行動は、マンモスを狩っていた頃に起源を持つ。
共に命がけの狩りをし、それゆえに方法を巡ってぶつかりもする。
どちらか一方が生き残って、凄惨な派閥抗争は終わりを迎える。
しかし女は、派閥を作ること自体が目的になっている。
男が狩りに行く間、女たちは輪になって相互を守っていた。
そこでは協調性が必要で、常に『私たちは仲間ね』という確認作業をしている。
外部に敵がいると一致団結するが、いない時には内部に敵を作る。
個人ターゲットや他の派閥を敵にして、味方の派閥内の結束を確かめ合う。
![女はひくことを知らない](https://usijimakunnoningengaku.com/wp-content/uploads/2019/03/10-25-300x300.png)
真鍋昌平著「闇金ウシジマくん10巻」小学館
「女どもに、
言ってるコトが間違ってるって指摘してもよ、
女は自己主張強くって聞く耳持たねーし、引くコト知らねーだろ?
タチが悪ーンだよ!!」
女が相手を味方かどうか確認する方法は、自分の言う事に同調するか否か。
町田の正論など、どうでもいい。
無条件で賛同を求める。
特に他人の悪口という後ろめたい事に同調してくれると、仲間意識が強まる。
だから女同士の派閥間の抗争は、陰湿で終わりが見えないものになる。
![女とランチに行かされる](https://usijimakunnoningengaku.com/wp-content/uploads/2019/03/10-25-2-300x300.png)
真鍋昌平著「闇金ウシジマくん10巻」小学館
「毎日それぞれの派閥から
ランチ誘われて、くっだらねー話に
付き合ってンだぜ!?」
女は話の内容など、どうでもいい。
くだらない話であっても、それに迎合するかどうかで仲間意識を確認する、儀式を行っているのだ。
長時間、中身のない会話でも途中退出は仲間意識に水を差すので、抜けた人間の悪口が始まる。
派閥を維持するために、常に仲間意識の確認を必要としている。
女の派閥争いの中で、男一人の町田はビーチフラッグのように翻弄される存在だ。
手中に収める事で、派閥内の皆で協力した成果と感じたい。
もし町田が、両方の派閥に厳格な態度で臨んだらどうなるか?
両派閥は休戦し、全ての女の敵である町田一人に敵意を向ける。
保険会社の管理職の町田が全員を敵にしたら、会社から管理能力不足と処分される。
職場の女同士の関係がこじれていたら距離を置くのが正解だが、仕事では逃げようがない。
終わりのない不毛な環境に追いつめられ、町田の精神は壊れている。
通行人の若い女が
![キャハハと笑う女](https://usijimakunnoningengaku.com/wp-content/uploads/2019/03/10-25-3-300x300.png)
真鍋昌平著「闇金ウシジマくん10巻」小学館
「キャハハ。」
と笑っただけで、ビクッとする町田。
「あいつらマジで死んで欲しい…」
完全に女がトラウマになっている。
普通はショックな出来事があってトラウマになるが、毎日ジワジワと追い詰められた町田はトラウマを抱えた。
ジワジワと練り込まれたトラウマは、恐らく一生ものだ。
男の威を借りる女
![獅子谷甲児と那奈](https://usijimakunnoningengaku.com/wp-content/uploads/2019/03/43-141-300x300.png)
真鍋昌平著「闇金ウシジマくん43巻」小学館
ウシジマくん編より(39~46巻)
![]() |
![]() |
チンピラの肩に隠れて
「あいつヤッちゃいなよ」
と言う女は昔から居た。
男の威を借りる女にも、派閥に似た一体化の構図が見えてくる。
境界性人格障害というものがある。
自分と他人の境界を感じられない人の事だ。
女の割合は、男の3~4倍と言われている。
自分と他人の線引きができず、相手の全てが自分のものだと思う。
例えば高収入の男と結婚したら、その男の能力が自分のものだと一体化して考えてしまう女。
そういう一体化の度合いが病的なまでに高まったのが、境界性人格障害だ。
そこまでいかずとも気質的に、他人の威を借りる体質の者が多い。
半グレの獅子谷甲児とその情婦、那奈(なな)。
ウシジマくんが届けてくれたスマホケースが違うと、その場で文句を言う。
![文句を言う那奈](https://usijimakunnoningengaku.com/wp-content/uploads/2019/03/43-142-300x300.png)
真鍋昌平著「闇金ウシジマくん43巻」小学館
「これ違ーう。
私が頼んでたのコラボのやつだよ。」
「期間限定ショップにあるから
並んで買ってきて。」
お礼を言う前に、開口一番で文句を言う。
男の威を借りる時、女のワガママは増長する。
男の力を自分が拝借して使えるかどうかで、男と一体化できたか確認をしている。
女は常に、味方かどうかの確認をして生きている。
男はどちらかが倒れる激しい衝突を起こすが、女は決定的な衝突は回避して生き延びる。
生存本能は女の方が強い。