フーゾクくん編より(4~6巻)
朝からパチンコ屋に並んでいるような人は、どんな人なのだろうか?
その一人が、この村田。
働きたくないから、就職までの猶予期間で始めたパチスロ。
10年たってもやり続けている。
パチスロをして時間を失う
村田がやっているのはパチスロだが、若い者に交じって、パチンコ屋に並んでいる。
村田にもかつて、一緒に並ぶ仲間が居たが、みな就職してしまった。
目は開いているのかわからないほど、死んだ魚のような眼をしている。
口もだらしなく開き、その周りには無精ひげ。
外見と内面は見事に一致している。
普通の感覚をしていたら、いつまでもパチスロだけをやっていられないだろう。
村田は最後まで成長できずにいる。
こんな風になる人間は、10代後半から決まっている。
高校を卒業する頃に進路の選択が出てくる。
村田は仕事はしたくないが、大学に行くほど頭がよくない。
だから就職までの猶予期間として専門学校へ進んだ。
特にやりたい勉強もない、逃避としての専門学校進学なので、ロクに学もついていない。
時間を無為に過ごして専門学校を卒業した村田は、パチスロをして更に時間を無為に過ごす事にした。
この時間の使い方に、村田の向上心の無さが出ている。
高校を卒業する時と全く同じ、猶予期間の選択をした。
パチスロは辞める時期が決まっていない
専門学校の2年間の期日と違って、パチスロを辞める期間は自分次第だ。
村田は今日まで、パチスロをダラダラ10年間も続けてしまっていた。
就職面接の時に聞かれたら、この10年間を言い訳のしようがない。
時間を無為に過ごしたツケが、30代になって降りかかってくる。
村田は何故、パチスロを辞めて就職しなかったのか。
パチスロやパチンコをする人は、それを仕事のように考えている節がある。
村田も、朝から新装開店の店に並んで、閉店までやってデータ取りもする。
色々と考えているのだと。
新装開店の店は、客を集めるために設定が甘い事が多い。
だがどんなに並ぼうが、考えようがパチスロは仕事にはならない。
労働で生まれるものが何もないからだ。
たまに勝つからやめられない
たまに勝って、金が入ると未来への投資ではなく、浪費をする。
村田の場合は、デリヘルの瑞樹と会って使ってしまう。
瑞樹相手に、自分のパチスロ話をする村田。
クランキーコンドル(パチスロの機種)がどうのと。
瑞樹は置いてけぼりなのだが、そんなのはお構いなしにパチスロ話が続く。
この機種の話は、パチンコ中毒者にもみられる特徴。
海物語がどうのと、相手の知識を考えずに一方的に語る。
仕事をせずに、一日中パチンコ・パチスロをやると、人との対話ができなくなっていく。
語りを続ける村田。
コンビニで買ったカツサンドとコーヒー牛乳を飲みながら、パチンコガイドを読みながら考える自分が好きなのだと。
瑞樹にしてみたら、何をしょうもない事を語っているんだという心境。
瑞樹は、自分の価値が時間と共に失われていくと自覚していて、目的意識をもってデリ嬢をやっている。
就職をしていない事に関して、コンプレックスを持っている村田をあやす瑞樹。
そんな優しさにほだされて、延長してしまう。
これが自堕落な村田と、目的意識のある瑞樹の差。
瑞樹は村田に合わせてあしらっていて、全てはお金のためである。
一方の村田は、怒ったりなだめられたりして、何となく心地よくなって延長してしまう。
もう本人にはこれ以上、人生の猶予期間の延長時間はないのに。。。