ナマポの佐古彰(さこ あきら)

牛丼を食べる佐古 若い男
真鍋昌平著「闇金ウシジマくん24巻」小学館

生活保護くん編

ナマポというのは生活保護受給者の略。

少し侮蔑の意味が含まれる。

 

生活保護の在り方が議論される際、過剰にはれ物に触るように扱うか、甘えとして糾弾するかのどちらかに偏る。

ウシジマくんでの扱い方が、最も等身大で公平なものに思えました。

不正受給の現実もありつつ、人の可能性を説教くさくなく教えてくれます。

 

基本、ウシジマくんがむしり取る構図ですが、ウシジマくんの「・・・」には、読み手によって様々な感情が入れられます。

主人公は二十代の佐古彰(さこあきら)。

 

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ナマポの辛さは人に必要とされていない事

闇金ウシジマくんの登場人物には、ちゃんと人生がある。

佐古の貧窮具合も切実なものがある。

家賃が滞納しているので、外では賃料保証会社がドアを叩いている。

 

その中でケータイでエロ動画を観ながら自慰にふける佐古。

ケータイも電気も止まっているが、全財産で電池を買って、保存した動画を観ていた。

 

冷蔵庫に食料も無く、床に置いてあった食パンを食べるとカビが生えていた。

この床に食品というのも、ウシジマくんの底辺家庭ではよくみられる構図。

あるべき所にものがないというのが、社会性の無さとつながっている。

 

レジでお金が足りない

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん24巻」小学館

 

おつり銭の1円・5円を貯めたビニール袋を破って、100円ショップにパンを買いに行く。

お金がある時は、おつり銭の小銭が邪魔になるのでゴミのようにビニール袋に貯めてしまう。

それを使うというのは、いよいよおしまいという事だ。

 

100円ショップの店員が1枚1枚イライラしながら数えて、結局足りない。

店員に蔑視される佐古。

底辺の底辺に落ち切った。

 

生活保護を受けるために役所へ行き、働けない理由を述べるが、年下に命令されるのがキツイとか今一つの理由。

その中で真に迫っていたのは、実家の親との関係性。

責められて圧迫されていたので、刑務所より辛いとの事。

 

それを理解されず役所の担当者に生活保護申請を却下され、大声を出す佐古。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん24巻」小学館

 

「あんたらだって人の税金で食ってるくせにエラそーじゃないか!!

 

俺の払った消費税分は俺の為に働けよ!!バカ!!」

 

ブリッ

激高した拍子に下痢で脱糞してしまう佐古。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん24巻」小学館

 

「え!?」

と狼狽して、あわてて尻を触る。

 

役所の職員は鼻に手を当て

「臭っ。」

 

役所で漏らす佐古

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん24巻」小学館

 

これで攻守の立場は交代して、何も言えなくなる佐古。

 

ストレスがかかると下痢になってしまう体質からも、佐古が実家で圧迫感を感じていたのは本当だろう。

 

佐古が図書館のパソコンでネットをして、書き込みの情報から善良な仲介人を見つけて、ようやく生活保護がもらえる事に。

 

佐古はリアルな人間関係が苦手な代わりに、ネットに居場所がある。

晴れてナマポになれた佐古だが、やる事と言えば自慰と食事と寝る事のルーティーン。

 

暇を持て余す

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん24巻」小学館

 

佐古曰く、寝るのがナマポの仕事で、ガンバッて退屈に耐えるとの事。

誰にも必要とされず、無為に時間を過ごす事の辛さ。

 

色々と考える時間だけはあるので、無間地獄のよう。

食事の買い出し中に見かけた、藤代彩花に目を奪われる。

ちかんに注意の電柱に隠れて、彩花を見る。

 

電柱の影に隠れる佐古

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん24巻」小学館

この後で警察に職務質問とか、無粋な展開はない。

ウシジマくんには、読んでいる人が「おいおい」とツッコミを入れる遊びがある。

 

まぁ、見かけて家までつけて、郵便から名前を調べるあたりアウトなのだが、それ以上の事はしない。

ネット人間の佐古は、彩花のSNSを見つけて見守る(ストーキングだが)事にする。

 

彩花のSNSには、日々働く様子が書いてある。

それを寝ながらドーナツを食べて、

 

「生きがいがあって良かったね、ガンバレ彩花!!」

 

と言っている佐古。完全に働く気がない。

生活保護をもらっていると来るケースワーカーの話も、横になって聞く佐古。

 

ケースワーカーと佐古

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん24巻」小学館

 

言い訳もする。

ケースワーカーにしてみると無力感でいっぱい。

ケースワーカー同士がグチを言い合う所もあるが、これも感情移入して理解する事ができる。

 

そんな中、ネットで生活保護の受給条件が変わるかも知れないという話題から、不安になって他の受給者の集まりに参加する。

そこで、めしあ(飯野)とぬーべー、それと希々空(ののあ)に会う。

彼らも色々と欠落がある人間だ。

生活保護から抜けたい佐古

同じような人間に会って、不安感を紛らわせるが、根本的な解決にはならない。

佐古の家に代引きの商品を持ってきた配達員は、知り合いのよっしーだった。

 

過酷な長距離トラックの業務上の事で借金を作り、体を壊しても休めない。

そういう人間から見たら、佐古の姿は甘えに映り

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん24巻」小学館

 

「俺はただの配達員だけど、誰かの役に立っている」

 

と言って立ち去る。

役所の人間もケースワーカーも、よっしーの言葉も全て上からの物言いだと憤慨する。

 

役に立ちたい

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん24巻」小学館

 

だがその感情は、誰にも必要とされない自分への怒りだった。

労働はお金だけではなく、他人に必要とされる事で自分の存在が認識できるので行う。

 

佐古は発奮するが、やったのはネットでDQN(迷惑な人)を探し出して、個人情報を晒す事。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん24巻」小学館

 

劣等感の強い今の彼には、他人を引きずり落とすしかできなかったのだ。

その小さな世界で神と言われる。

そんな事をしていても、希々空のせいで背負った借金は変わらない。

 

めしあが、ぬーべーと佐古を連れて、助成金で成り立っている会社へ起業の足掛かりのために働きに行った。

ここでやらされるのが、田舎の家々を回って無料の靴磨きをする事。

顔を覚えてもらって、何でも屋として依頼をもらうためだ。

 

だが、年寄りの家では必要とされていない。

ここで佐古は、必要とされている事をしたいと思い付きで、雪かきする事にした。

 

雪かきをする

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん25巻」小学館

 

これがマッチしていて、年寄りの家に呼ばれるようになっていった。

更に佐古の得意なパソコンを教え始めて、社会に居場所ができかけた。

 

おばあさんたち

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん25巻」小学館

その矢先、膨れ上がったウシジマくんの借金でどうしようもなくなる。

人生と同じく、うまくいきそうになったらそれをくじく何かがでてくる。

これを乗り越えるか潰されるかが、ウシジマくんのテーマの一つ。

 

佐古が家を出るキッカケとなった、父親との確執を乗り越えられるのか。

問題の原点に戻って、対峙できるのか。

 

粘着質の佐古の受け取り方と父親の不器用さ原因で、佐古は世の中の隙間に落ちてしまった。

解決するには問題の原点に立ち返るしかない。

 

佐古らの道のりはまだまだ遠いが、社会に必要とされるキッカケは掴んでいる。

ぬーべーとめしあと佐古

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん25巻」小学館

 

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