就職氷河期世代で非正規になったおじさん

非正規のノブさん おじさん
真鍋昌平著「闇金ウシジマくん16巻」小学館

楽園くん編より

フリーターは社会人とはみなされない。

かと言って無職でもない。

社会とホームレスの狭間、非正規で生きるノブさん。

 

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就職氷河期とブラック企業のコンボ

 

就職氷河期世代とは、バブル景気の反動を一手に引き受けた世代だ。

日雇い派遣を転々としたり、漫画喫茶をアパート代わりにし始めたのも彼らだ。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん17巻」小学館

 

人生が足踏み状態のまま、時間だけ過ぎる内におにぎりは100円で買えなくなり、中年になってバイトにありつくのも難しくなった。

 

ラブホのバイトにしがみついているノブさんは、若く夢を持っている同僚の中田に境遇を説明する。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん16巻」小学館

 

「俺さあ――

こー見えても大卒なんだあ……

運悪く、卒業の時 就職超氷河期でさ、不動産系のブラック企業しか入社できなかったよ……」

 

ノブさんが社会に出る時の初めての経験が、氷河期の中で様々なドアをノックしても相手にされないという就活だった。

 

それでも諦めずに就活を続け、唯一開いたドアに入るとそこはブラック企業という新しい業界だった。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん16巻」小学館

 

「でもノルマがキツ過ぎて3か月で辞めちゃったよ……

その後、日雇いフリーターやってる時に両親が死んじゃってさ……」

 

不況の中でブラック企業は気がついた。

社員を家族のように大切をするのではなく、菜種油を搾るように社員を締め上げれば、会社はリスクなく利益を上げられるという事に。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん17巻」小学館

 

人間は追い詰めた方が、必死で働く。その後で壊れても会社は知らない。

 

人間がトラウマで変わってしまうのは、命に係わる経験をした時だ。

就職氷河期で食えない恐怖を知っているノブさんにとって、ブラック企業の

ノルマ未達=食えない

というのは、死の恐怖に匹敵する。

 

人間は死のリスクを避けるため、新たに遭遇する事に過去のトラウマを当てはめて考えるようになる。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん16巻」小学館

 

過去の就活で散々な目にあったノブさんは、二度と就職に挑戦しない。

こうしてノブさんは、人から隠れるようにラブホテルの清掃の仕事をしている。

 

非正規のラブホテル清掃員

 

ラブホテルの清掃作業は、中田と二人で行っている。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん16巻」小学館

 

ノブサンは仕事をキッチリとやるが、中田に警部と呼ばせて警察ごっこを楽しんでいる。

現場検証と称して、部屋に残されたものから使用した男女を推定する遊びをしている。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん16巻」小学館

 

「”中田巡査”

現場検証を始める。

タバコの量からすると短時間の犯行だな。」

 

他にもコンドームの捨て方やベッドの使い方を見て、40代不倫女の犯行などと言っている。

だが、バイト代だけが目的の中田に

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん16巻」小学館

 

『うぜェ』

と言われてしまう。

 

「警部とか巡査とかもううざったいし!!」

 

年下に叱られて気まずい沈黙の中、仕事をする。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん16巻」小学館

 

清掃員の待機所に戻ると、ノブさんは警察ごっこの理由を語る。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん16巻」小学館

 

「つまらないンだ。人生が」

 

中田と違って、ノブさんの人生には目標がない。

若い男は女にアピールするために、必死で仕事をする。

 

だがノブさんにはアピールする場所さえ一度も与えられず、何の喜びもない毎日だ。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん16巻」小学館

 

「これからずっとこの生活が続くと思うとさ、冗談でも言ってないと頭が、おかしくなりそうだよ。」

 

養う妻子もおらず、仕事も単調なバイトという真っ平な人生。

それでも何とか正気を保つために、冗談を言いながらも仕事だけはキッチリとこなす日々を送る。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん16巻」小学館

 

「下らない仕事と笑うか、

今、自分がやっている事に少しでも前向きに価値を見出すかでさ……

この先 積み重ねていく人生の、重みが違うと思うんだ……」

 

ここが反社会的な人間との違いだ。

毎日の生活を積み重ねていこうというのが、まともな育ち方をした人の考え方だ。

 

だがノブさんは、報われた事がないので自分に自信がない。

 

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選択肢が無かった人の人生

 

仕事をする中で、少し距離が縮まった中田とファミレスに行くノブさん

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん16巻」小学館

 

「吉牛の特盛にさ、卵と味噌汁を付けるか悩むだろ?

この悩んでる時が俺の一番の幸せだよ。

この喜びがキミに分かるか?選べる喜びだ。

人生 選択肢が多い方がイイ!」

 

若い中田がうんざりとするほど、夢のない話しかできないノブさん。

人生の選択肢が無かったノブさんは、吉牛に卵をつけるかどうかの選択だけで満たされる。

 

だが中田は

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん16巻」小学館

「俺、今月でバイト辞めます。

あそこじゃないンです。俺の生きてく場所は。」

 

ノブさんがやっと見つけた仕事を、棄てるように巣立つという中田。

そんな彼に批判的な事を言うノブさん。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん16巻」小学館

 

「どーせ、東京で挫折しても実家に帰ってやり直すなンて、

甘いコト考えてる訳でしょ?」

 

ネチネチと嫌味に近いことを言うノブさん。

彼は悪人ではないが、卑屈な人間だ。

 

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ノブさんはファミレスのガムシロとミルクを目いっぱいポケットに突っ込み

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん16巻」小学館

 

「はぁーあ、いい身分だね。帰ろっか”中田巡査”。」

 

それを、冷めた目で見る中田にノブさんは、自分の上げた成果を話す。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん16巻」小学館

 

「知ってる?”中田巡査”、ガムシロ1個約10円 ミルクは7円もするンだ。

これで90円は節約できる。フフフ……」

 

90円ぽっち儲けただけなのに嬉しそうだ。

人生で期待を膨らませた事がないおじさんは、人間のスケールも小さいのでみみっちい事で満足できる。

 

まるで自傷行為のように浅ましい事をして、自ら卑しい人間になる事で安心する。

自分に誇りを持ってしまうと、今の生活に耐えられないからだ。

 

そんなギリギリの自尊心で生きていると、何か一つのキッカケで壊れてしまうものだ。

部屋に捨てられているコンドームを手に取り、外側は女性器しか触れてないからと言って、口に入れてねぶりだすノブさん。

 

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん17巻」小学館

 

真面目な人間ほど、就職氷河期に受けたダメージは大きい。

ノブさんの就職氷河期は、一生続く。

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