宇津井の仕事選び

求人誌を読む宇津井 おじさん
真鍋昌平著「闇金ウシジマくん8巻」小学館

フリーターくん編より(7~9巻)

 

日雇い派遣から定職にステップアップすべく、一念発起する宇津井優一

だが、彼の根底にあるのは働きたくないという感情。

 

第一志望は、楽で給料が高いところ。

そんなダメ人間の仕事の選び方に迫る。

とりあえず月給25万以上

お金が欲しいのはわかる。

だが、自分自身にその価値があるのかを問うてほしい。

何もない自分がいきなり25万円をもらえると思うのは、どんな根拠があってだろうか?

 

初任給で25万円というのは、その職種を上手にやる経験者の募集か、キツい仕事かのどちらかだ。

宇津井は今までやってきた仕事とは、違う仕事に応募したいと考えている。

それまで経験した仕事が、どれも辛かったからだ。

 

だとしたら未経験の仕事で初任給25万円は難しい。

逆に未経験でいきなり25万円もらえる仕事というのは、何か落とし穴があると考えなければならない。

自分に甘い人間は、仕事の見通しも甘い。

人と一緒に居ることが苦痛

まぶしい求人広告

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん8巻」小学館

 

宇津井のように自信を無くした男には、アピールが強い求人広告はまぶしくて辛い。

みんなで和気あいあいといった写真を見たくはない。

 

ダメ人間が劣等感を感じるのは、他人との交わりで違いを実感した時だ

人と一緒に居ることが苦痛に感じる。

 

夢を語る求人広告

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん8巻」小学館

 

次の求人広告も嫌いだ。

肩書が営業スタッフチーフという色黒のサカちんが、

『笑顔と元気で、僕と一緒に

夢を追いかけてみないか?』

と語りかけている。

 

宇津井は元気とか夢とか、そういった前向きな言葉は求めていない。

それを言うのが年下だと、余計に宇津井の劣等感を助長する。

そんな宇津井の理想はコレ。

 

宇津井の理想

真鍋昌平著「闇金ウシジマくん8巻」小学館

 

刑務所の作業服みたいなのを着て、みんながそっぽを向いている。

目が死んだ薄毛のおじさんは、背を曲げてどこかを見ている。

 

少し若そうな男も、もっさりとしていて

「気楽に行こうよ」

と言っている。

 

こんな夢も希望もないような職場が、今の宇津井にはシックリくるのだ。

無論、これは宇津井の理想であって実在しない。

 

こんなやる気のない会社は、営業を続けられないからだ。

企業も宇津井のような人材は必要ないので、キラキラとした広告で間違いはない。

人と会話したくないから工場

結局、宇津井が応募しようと選んだ職種は工場だ。

休憩時間昼食の時だけ、他人との時間をガマンをすればいいから。

彼はそこまでして他人と接したくないのだ。

 

物作りが好きとか、そういう前向きな理由ではない。

接客業は人と接するので問題外。

引っ越しは腰を痛める。

 

パチンコ屋は以前、客のドル箱(詰まれた玉の箱)を崩して怒られた。

こういう消去法で仕事を選んだ結果

恐らく工場の仕事についても、手が痛いだの立ち仕事は向いてないだの言い訳をつけて辞めてしまうだろう。

 

やりがいだとかスキルアップとかは、宇津井にとっては別世界のことだ。

工場の仕事を選んで連絡のための携帯を出すが、明日から生まれ変わろうという事で先延ばしする。

この先延ばしもダメ人間の特徴だ。

ダメ人間の宇津井優一
フリーターくん編より 左が宇津井優一。無精ひげにしまりの無い作業服の着方が隣の若いバイト仲間と対照的。 インナーのTシャツはダルダルな上に、ちゃんとシャツインしていない。 ダメ人間の特性は、姿形にもあらわれる。 ...