中年会社員くん編より(29巻)
男は地味な女性なら、大概の事は許してもらえると思っている。
不美人なら、何をしても許されるものと思っているかも知れないが、堪忍袋は容姿に関係ない。
男女ともに、異性を外見によってランク付けをする。
しかし男は露骨に、わかりやすく女性にそれを伝えてしまう事が多い。
地味な保険外交員の瑠璃は、中年会社員の加茂と不倫をしている。
その加茂に、どうでもいい女扱いをされた時、瑠璃はキッチリ報復する。
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容姿によって扱いを変える男たち
独身の瑠璃は、中年会社員の加茂と不倫をしている。
加茂は一流メーカーに勤めてはいるものの、顔もパッとしないし体型も貧弱だ。
しかも、瑠璃に金銭を与えていないどころか、逆に金を借りている。
世話になっているのに加茂は内心、瑠璃の事をブスかわと呼んでいる。
瑠璃が電話に出なかったときなど、
「生意気だ ブスかわのくせに」
とつぶやいている。
こういう男の態度は、瑠璃にも伝わっている。
瑠璃は加茂と一緒にいる時には口数が少ない。
加茂が一方的に言いたいことを話している。
このあたりも瑠璃の経験上、自分の語りなど男は求めていない事を悟っているのだ。
![瑠璃の胸](https://usijimakunnoningengaku.com/wp-content/uploads/2018/11/29-16-300x300.png)
真鍋昌平著「闇金ウシジマくん29巻」小学館
男は大きめの胸を目当てに寄ってきているだけだと。
どの女性も自分に自信を持って生きてきたはずだ。
しかし、10代の後半頃から容姿による扱いの違いを感じる事が増えてくる。
男は内心を隠すのがうまくない。
デリカシーの無い男によって露骨に容姿の差を感じさせられる内に、卑屈になっていく。
こういう扱いの差は、女性の方が敏感に感じ取る。
女性が微細な感情にも敏感なのは、赤ちゃんの異常を早期に気が付くためと言われている。
女性は地味な外見だからと言って、扱いの差に寛容なわけではない。
反発したら、男が離れていってしまうから我慢しているに過ぎない。
ちゃんと不満は抱えている。
加茂は瑠璃と付き合いながらも、キャバ嬢の花蓮に入れ込んでいる。
瑠璃の家に行く約束をしていても、花蓮からメールで食事に誘われると、そっちに行ってしまう。
![部屋で料理をしている瑠璃](https://usijimakunnoningengaku.com/wp-content/uploads/2018/11/29-30-300x300.png)
真鍋昌平著「闇金ウシジマくん29巻」小学館
部屋でカレーのようなものを作っていた瑠璃は、仕事で行けないとウソをついている加茂を労う。
部屋は質素で飾り気がなく、地味な部屋だ。
加茂は花蓮とはレストランに行くのに、瑠璃とは雨天でも公園に行く。
しかも、少し話してすぐに瑠璃に金を借りる。
![寝たフリ](https://usijimakunnoningengaku.com/wp-content/uploads/2018/11/29-18-300x300.png)
真鍋昌平著「闇金ウシジマくん29巻」小学館
加茂が帰る時、瑠璃はいつも寝たふりをしている。
こうする事で、帰り際に気を遣う必要がない女だと思わせている。
女は男にここまで気を回せるのに、男はそれに気が付かず増長していく。
地味な女性も怒らせると怖い
![キャバ嬢へのメール](https://usijimakunnoningengaku.com/wp-content/uploads/2018/11/29-133-300x300.png)
真鍋昌平著「闇金ウシジマくん29巻」小学館
瑠璃から金を借りた直後に、加茂はキャバ嬢の花蓮に送るメールを瑠璃に送ってしまう。
![静かに怒る顔](https://usijimakunnoningengaku.com/wp-content/uploads/2018/11/29-133-2-300x300.png)
真鍋昌平著「闇金ウシジマくん29巻」小学館
それでこの表情。
このリアルさ。怨念の怨の字が浮かぶような、静かで底知れない怒りの表情。
加茂に直接くってかかるような関係でもなく、かといって許すつもりはない。
我慢に我慢を重ねてきたのは、誰かに必要とされる実感が欲しかったからだ。
それが崩れた時に、瑠璃が積み重ねてきた恨みは怨霊になる。
加茂だけでなく、今までの人生で瑠璃が受けた扱いに我慢していた。
瑠璃も一人の女性として、自分に誇りを持って生きていた。
だけど美人と同じように自己主張をすれば、男はすぐに捨てていく。
どんどんと卑屈になっていき、中年の加茂のレベルまで付き合う相手の質を下げた。
その加茂にこの仕打ちを受けたのである。
温和そうに思える人の恨みほど怖いものはない。
お地蔵さんのお供え物のまんじゅうを盗むと、けっこう怖い祟りがあるように・・・
![](https://usijimakunnoningengaku.com/wp-content/uploads/2018/12/12-48-160x90.png)